防災コラム
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【完全ガイド】停電に備える必須アイテムと対処法!慌てないために準備すべきこと
2024/10/18
台風や地震などの災害だけでなく、近年では電力不足でも停電は起こります。現代社会では電力に頼りきった生活をしているため、停電が起きると多くの不便を感じます。
また、停電が長時間続くと生活に支障もでるでしょう。しかし、停電に対して事前にしっかり備えておけば、安全にそして迅速に対処できます。
本記事では、停電に備えるべき必須アイテムや、事前にできる対処、停電が発生した際の対応策を詳しく解説します。
目次
【事前準備】停電に備えるべき必須アイテム
停電には、どのようなアイテムが有効なのかを把握しましょう。
例えば照明アイテムにおいても、持って移動するケースと、室内を明るくするためのケースとでは、選択する照明アイテムが異なります。また、全ての照明アイテムで電源となる、乾電池やバッテリーも忘れてはいけません。
そこでここでは、停電中の生活を安全で快適にするために、必要なアイテムを紹介します。
移動時には懐中電灯やヘッドライトが有効
室内を移動したり自宅の周囲を確認したりする際には、懐中電灯やヘッドライト、ネックライトが有効です。
最近では100円ショップで販売されている小型のLED式の懐中電灯でも、5~10m先を明るく照らせるためコスパがよいです。ただし、照らす範囲は狭いので、移動方向を広範囲に照らすなら、ヘッドライトやネックライトがおすすめ。顔や身体の向きに合わせて先を照らせて、両手をあけられるためとても便利です。
特に、ヘッドライトは数百メートル先を照らせるアイテムもあるため、どうしても避けられない夜の移動には特に有効です。これらのアイテムは停電時だけでなく、キャンプや釣り、夜間のウォーキングなど普段の生活でも役立ちます。
室内を明るく照らすにはランタンがベスト
停電時に室内を明るく照らすには、ランタンがベストです。キャンパーや夜釣りを趣味としている方なら、本格的なランタンを所有しているはずなので問題ないでしょう。
そうでない方は、安価なランタンで大丈夫なので用意しておくと安心です。
防災士である筆者も高価なアイテムでなく、ダイソーで税込330円の懐中電灯式のLEDランタンを2つ準備しています。ローリングストックを兼ねてベランダキャンプをする際に、とても重宝していますよ。(上記の画像が実際に使用しているランタンです。)
懐中電灯を立てて、その上に水の入ったペットボトルをおくと、明かりが拡散されてランタン代わりになる防災ライフハックもあります。
しかし、周囲を明るく照らすために作られているランタンを準備しておく方が、安心で便利です。
モバイルバッテリーの充電と予備の乾電池も準備
先に紹介した照明アイテムの電源は、多くが乾電池なので予備の乾電池も必要です。
また、乾電池には使用推奨期限があるため、備蓄していても推奨期限を過ぎていると性能低下や、液漏れが起きるため注意が必要です。
アイテムの種類によって異なりますが、LED式の寒中電灯やヘッドライト、ネックライト、ランタンなどは10~24時間連続して点灯が可能です。そのため、予備の乾電池も多く必要としません。アイテムに合わせた数を用意しましょう。
充電式のアイテムも増えており、スマホへの充電に必要なモバイルバッテリーも準備しましょう。
モバイルバッテリーは常にフル充電状態であることが重要で、毎日チェックすることが大切です。でないと、突然の停電時にスマホのバッテリーが少なく、モバイルバッテリーの充電がないとなれば、不安になるのは間違いありません。
不安にならない工夫の1つ!ゲームをする
停電時では昼間は問題なくても夜にランタンの灯りだけでは、子ども達は不安になるでしょう。また、子どもだけでなく大人でも、十分な灯りがないと不安になる方も少なくありません。
そんなときに、スマホやタブレットを使ったり、ゲームをすることで不安を少なくできます。
予算に余裕があればポータブル電源があると停電時も安心
予算に余裕があるなら、ポータブル電源があると停電時も安心です。ただし、モノによっては数十万円するため、手を出しにくいのが現実でしょう。
そんな中でも、2万円台で販売されているポータブル電源もあります。
- 車のシガーソケットから充電できる
- 出力が約300W以上ある
- ソーラーパネルからの充電も可能
- 出力ポートが複数ある
これらの条件を満たしているポータブル電源なら、低価格帯でも停電時に活躍できます。キャンプなどの趣味がある方は普段から使えるので費用対効果は高いです。
備蓄に欠かせないカセットコンロは必須アイテム
現代社会では、電気に頼らないと日常生活が成り立たないのが現実です。ここまでで、照明アイテムとその電源の確保について解説しましたが、停電時に必要なのは照明だけではありません。
備蓄に欠かせない「カセットコンロ」も、停電時の必須アイテムです。
近年では「太陽光パネル+蓄電池」のオール電化住宅も普及していますが、蓄電池にも容量があります。
冷蔵庫の食材を調理する、レトルト食品を温めるなど、電子レンジやIH調理器を利用すると、消費電力が1,000W以上となります。
そのため、冷蔵庫や照明をできるだけもたせたいなら、調理はカセットコンロ利用がベストです。
飲料水や食材など備蓄品も重要
多くの場合停電が起きる原因は自然災害であり、その場合は停電が長期化する恐れがあります。
災害が増え、近い将来に南海トラフ地震や地下直下型地震が起きると言われている現状では、防災意識が高まり多くの家庭で備蓄をしています。
「非常食」と身構えわざわざ「アルファ米」のような特別なものを購入する必要はありません。普段食べるパックご飯やレトルト食品、缶詰、ミネラルウォーターなどを多めに買い足すことで十分備蓄ができます。
因みに、水道水でも常温で3日は保存が効くので、2リットルや4リットルのペットボトルに毎日保存すれば、日常的なローリングストックが可能です。
【予防策】事前にできる停電対策
停電が起こる可能性があると予想される場合、事前にできる対策が被害を最小限に抑えるカギです。ここでは、以下の3点について詳しく解説します。
- 冷蔵庫の温度を下げておく
- 家の配線や電気機器のチェック
- モバイルバッテリーの充電を満タンにしておく
1.冷蔵庫の温度を下げておく(強に設定)
電気代が気になるところですが、停電はいつ起きるか分からないため冷蔵庫の温度を下げておきましょう。一般的な冷蔵庫では「強・中・弱」の設定ですが、これを強にしておきます。
理由は、停電時には冷蔵庫の電源が切れ、中の温度が徐々に上昇するからです。温度が上がりすぎると食材が腐敗しやすくなり、食中毒などのリスクが高まります。
特に肉や魚などの生鮮食品は、適切な温度でないとすぐに傷むため、普段から冷蔵庫の温度を下げておくことで、少しでも長く食材を正常に保てます。
とは言っても、停電が発生してから冷蔵室の効果は約3時間が目安で、ドアの開け閉めを行うともっと短くなります。そのため、停電時に復旧が見込めない場合は、冷蔵室にある食材を早めに消化しましょう。
冷凍庫は食材や保冷剤で隙間なく埋めておく
冷凍庫が満杯だと、停電中でも冷気が保持されやすくなります。冷凍食品や保冷剤を多めに入れておき、それでも隙間のある場合はペットボトルを入れて凍らせておきましょう。
これにより、停電が発生しても冷凍庫内の温度が上がりにくくなります。
2.家の配線や電気機器のチェック
家の配線や電気機器の状態をチェックしておくことは、停電時の安全対策として非常に重要です。特に古い配線や故障した電気機器は、停電中や復電時に火災の原因になるからです。
停電時には電力が突然途絶え復電した際に一気に電力が戻ることで、家電製品や配線に負担がかかり火災が発生します。これは「通電火災」と呼ばれる現象で、特に古い家や劣化した電気設備で起こりやすいため、定期的な点検が必要です。
チェックポイント
- 漏電や過熱のチェック
家の配線やコンセントに異常な熱を感じたり、焦げ臭く感じる場合は、すぐに専門家に点検を依頼してください。漏電は、火災の大きな原因となります。 - タコ足配線を避ける
コンセントに多数の電化製品を同時に接続するタコ足配線は、配線が過熱しやすく火災の原因になります。不要な機器をコンセントから外し負荷を軽減しましょう。 - ブレーカーの点検
停電が発生した場合に備え、ブレーカーの場所や操作方法を確認しておきましょう。特に分電盤の動作に異常がないか、電力会社のWEBサイトでの確認や専門家による点検を、定期的に受けると安心です。
3.モバイルバッテリーの充電を満タンにしておく
これは前述したことと重複しますが、現代ではそれだけ重要なポイントになっています。そこでここでは、モバイルバッテリー選びのポイントを紹介します。
- 容量の確認
モバイルバッテリーの容量は、できるだけ大容量のものを選びましょう。通常、10,000mAh以上の容量であれば、スマートフォンを2~3回フル充電できるため、停電が長引いても安心です。 - 充電速度とポートの数
急速充電に対応しているモバイルバッテリーや、複数の機器を同時に充電できる、複数ポートを備えたバッテリーを選ぶと家族全員が利用できます。また、USB Type_C対応のバッテリーは、最新のデバイスにも対応しやすいです。
【停電発生後の行動】停電が起きた際の対処法
停電が実際に起きた場合、慌てずに冷静に対処することが求められます。ここでは、停電中の行動と気を付けるべきポイントを解説します。
まずは状況確認
停電が発生したら、まずは状況を確認しましょう。周囲の家も停電しているか、または自宅だけの問題かを調べることで、対応方法が変わります。
各電力会社にて「停電情報が分かるアプリ」を提供しているため、自宅エリアの電力会社のアプリをスマホにダウンロードしておきましょう。停電の地域や復旧見込み時間も分かるため安心で便利です。
ブレーカーを確認
家庭に設置されているブレーカーは、電気回路に異常が発生した際に電力の供給を遮断する役目を担っています。
災害や地域の停電に関係なく、自宅における電気の使い過ぎが原因かもしれません。そのため、スイッチがオフになっていないか、ブレーカーの確認も重要です。
通電火災の防止
先にも少し触れていますが、停電後急に電力が復旧すると「通電火災」が起きる可能性があります。ここでは、通電火災を防ぐためのポイントを紹介します。
- 電化製品の電源を切る
特にヒーターやアイロンなど、電力を多く消費するものは危険 - コンセントを抜く
電化製品はコンセントから抜いておき、電力復旧時のリスクを減らす
情報収集とコミュニケーション
偶発的に起きる停電は、復旧まで時間が短い傾向にあります。しかし、台風や大雨、地震など自然災害による停電の場合は、復旧まで時間がかかるでしょう。
そのため、停電中はラジオやスマートフォンを使って、最新情報を収集することが重要です。また、家族や近所の方との連絡も欠かさず行える、助け合いが可能な環境づくりも大切です。
【復旧時の対応】停電復旧後に注意すべきこと
停電が解消した後も、気を抜かずにしっかりと対応することが大切です。ここでは、停電が復旧した後に注意すべきポイントを紹介します。
電化製品の確認と時計の再設定
停電が復旧したら、家中の電化製品が正常に動いているか確認します。特に冷蔵庫やエアコンなど、生活に欠かせない機器が故障していないかどうかチェックしましょう。
また、電源を利用していたデジタル時計は、リセットされているケースがほとんどです。そのため、タイマーなど時計が搭載されている家電は、時計の再設定が必要です。
特に、給湯器のリモコンは時計だけでなく、お湯張りの温度や水量など、あらゆる再設定が必要な場合があります。
冷蔵庫内の食材チェック
長時間の停電があった場合、冷蔵庫の中の食材が傷んでいないかの確認が重要です。
特に生鮮食品は傷みやすいので、腐敗の兆候があれば廃棄するようにしましょう。また、ほとんど解凍された冷凍食品はすぐに消費するか廃棄するかの2択となり、再度冷凍して食べるのは避けるようにします。
まとめ
今回は「停電」をテーマに、事前準備・予防策・停電発生後の行動・復旧時の対応、についてお伝えしました。
停電は多くが台風や大雨、地震など自然災害が原因で起きますが、それ以外の原因で起きる停電もあります。
特に、家庭内での電気の使い過ぎによる停電は、ブレーカーのスイッチを入れ直せば復旧します。しかし、どこに原因があったのか確認して、その原因を失くさないといけません。
その他にも、停電時には注意すべきポイントが多くあります。記事内の情報を参考にして頂き、突然起きる停電に備えてくださいね。
栗栖 成之
1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!