災コラム

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【防災】避難所の寒さ対策のカギは寝袋とインナーシュラフの活用にアリ

2025/04/25

避難所の寒さ対策や防災におすすめの寝袋とインナーシュラフについて解説します。避難先は十分な暖かさが得られないかもしれません。そんなときは寝袋とインナーシュラフが効果的です。アウトドアに馴染みがない方にも分かりやすいように、防災のための寝袋とインナーシュラフの活用方法をまとめました。

避難所の寒さ対策に寝袋とインナーシュラフが有効な理由

あたたかい

寝袋はその名の通り「袋」形状で、身体全体を包み込む構造になっています。これにより、熱を逃がさず、暖かさを保持してくれるので寒い環境での使用に向いているといえます。インナーシュラフも寝袋と同様に袋形状になっています。薄いフリース生地でできているので毛布よりも軽く、それでいてしっかりとした保温力を発揮します。

寝袋
インナーシュラフ

持ち運びしやすい

寝袋もインナーシュラフも基本は自宅から持ち出して使用することを前提としているので、持ち運べるようコンパクトに設計されています。使用しないときは専用の収納袋に入れますので、緊急時のときもすぐに手に持ち、あるいはバッグに括りつけて持ち出すことができます。

収納袋

簡単に使える

寝袋を使用するときは収納袋から取り出して広げるだけです。

寝袋

袋形状である寝袋は布団でいう掛け布団と敷布団が一体となっているので、避難先で寝床が整えられていない状況でもサッと広げて横になり休むことができます。
避難所以外では、地震などで自宅の部屋で物が散乱してしまったときでも、片付けを少しだけすませば、狭いスペースでも広げて寝ることができます。

寝袋

寝袋とインナーシュラフの基礎知識

寝袋

寝袋の外観はこのような感じです。収納された状態から床に広げて、ファスナーを開けて入って寝ます。

(封筒型の場合)

寝袋
寝袋とインナーシュラフ
寝袋

(マミー型の場合)

寝袋
寝袋
寝袋

マミー型と封筒型、見た目は違いますが、写真のようにファスナーを開けて寝袋に入り、ファスナーを閉じて眠るというのは同じです。

・中身

寝袋の中身は布団と同じように、羽毛と化学繊維のものがあります。羽毛は軽く、化学繊維はクッション性があるのが特徴です。

羽毛
羽毛
化学繊維
化学繊維

・価格

防災用の寝袋は秋ごろまで対応しているもの、場合によっては冬用のものがおすすめです。おおまかな価格の目安は下記の表の通りです。

秋まで使える冬用
羽毛30,000円ぐらい50,000円~  
化繊5,000~10,000円15,000円~

インナーシュラフ

・外観

インナーシュラフ
インナーシュラフ

・価格

目安価格
インナーフリース2,000円ぐらい
ボアフリース3,000円ぐらい

寝袋とインナーシュラフの活用方法

シーン別おすすめの寝袋

① 避難所へ避難するとき

封筒型寝袋-6℃
封筒型-6℃

春から秋の使用に適した封筒型寝袋。
避難所へは徒歩での移動を余儀なくされることが想定されます。その場合、ある程度コンパクトであることが望ましく、比較的軽量で小さなこのクラスの寝袋が適しています。

封筒型寝袋-6℃ MX-604

※寝袋の商品名に記載の温度は限界温度といわれる温度で、ダウンジャケットなど厚手の服を着込んで使用することはできますが、長時間の睡眠には適応しない温度域です。目安として限界温度に10℃~15℃ぐらい加えた温度が快適に使用できる温度の下限となります。

封筒型寝袋-15℃
封筒型-15℃

初冬ぐらいまでの使用に適した封筒型寝袋。
避難所(屋内)での使用であれば、毛布類を併用すると冬の使用も可能。真冬用の寝袋は大きすぎるので、冬に避難する際に持ち運ぶことを想定する場合はこのクラスの寝袋が適しています。

封筒型寝袋-15℃ FX-403

② 自宅に留まるとき

マミー型センタージッパー
マミー型センタージッパー-34℃

冬場に停電したり、地震などで物が散乱したりして布団で寝られないときはとにかく保温力が高い冬用の寝袋がおすすめです。マミー型が窮屈そうだと思ったら封筒型を選ぶのもよいでしょう。封筒型を選ぶ場合は毛布やブランケットも用意しましょう。
寝袋の温度帯は-30℃クラスがおすすめです。

マミー型センタージッパー寝袋-34℃ FX-453G

③ 車中泊・雪の立ち往生

マミー型センタージッパー
マミー型センタージッパー-34℃・またはマミー型センタージッパー-15℃

雪国では急な降雪で車やトラックが立ち往生して道路を塞ぎ、数時間から数十時間にわたり車内に閉じ込められることがあります。そのために、冬の間は寝袋を車内に常備しておくのがおすすめです。車内に置くのでそれほど大きさを気にする必要はありません。真冬用の保温力が高い寝袋があれば安心できます。

マミー型センタージッパー寝袋-34℃ FX-453G

マミー型センタージッパー 寝袋-15℃ FX-451G

インナーシュラフの使い方

① 寝袋の中に入れて使う

一般的な使い方。寝袋の内側に入れて人の肩の位置まで入って保温力を高めます。寝袋が夏用しかない場合でも、インナーシュラフを併用すると冬でもある程度寒さがしのげるので用意しておくのがおすすめです。

くるむん インナーフリース IF-201K

② 顔のまわりに巻く

インナーシュラフ

寝るとき顔や首のまわりが寒いという場合に効果的な使い方です。顔のまわりに巻くと冷気の侵入をほぼ防ぐことができます。

③ 足元に使う

インナーシュラフ

寝るとき足先は寒さが残りがちです。インナーシュラフを足元に巻けば暖かく寝られます。とくに冷え症の方に効果があります。

④ ポンチョのように

インナーシュラフ

紐やベルトが1本あればできる使い方です。インナーシュラフを逆さまにして、ファスナーがある方を体の前側に向けてファスナーを半分ぐらい開いて着るとポンチョのように使うことができます。防寒着が足りないときはこんな風に使うことができます。

<まとめ>

避難の際に持ち出す防災アイテムは色々あります。その中で優先したいのは飲料・食料であったり、連絡手段に欠かせないスマートフォンを使うためのモバイルバッテリーだったりします。寝袋やインナーシュラフについてはそれらよりも優先順位が高いとは言えないかもしれませんが、冬季の避難所はとても寒く、ほかに温まる手段は少ないのでできれば用意していただきたいアイテムです。防災アイテムとして寝袋、インナーシュラフの用意を検討されるときに、この記事が参考になれば幸いです。