災コラム

防災士や編集スタッフによる
お役立ちコラムや皆様の体験談など

今日からできるローリングストック!失敗しないポイントやおすすめのキャンプ飯レシピを紹介

2022/08/26

災害に備えて、食料品の備蓄を効率よく行える方法に「ローリングストック」があります。ところが「賞味期限の管理ができない」「備蓄した食料品の上手な使い方が分からない」という悩みを持つことも。実はローリングストックはふだんの食事にだけでなく、キャンプ飯とも相性抜群!今回はローリングストックの概要や備蓄量の目安、ローリングストックを上手に行うポイントに加えて、ローリングストックを活用したおすすめのキャンプ飯レシピを紹介します。

ローリングストックとは

ローリングストックとは

ローリングストックとは、日用生活で消費をしながら行う備蓄を指します。

災害時は物流が停止するため、スーパーやコンビニで食料品が手に入らず、さらに電気やガスなどのライフラインが止まった場合は日常よりも不便な生活を強いられることになります。非常食の備蓄を行っておくことで、災害時や非常時でも物流の復旧や支給が受けられるまで食料品を確保できる、さらにライフラインが使えなくても温かい食事が食べられることで、非常事態でも前向きに生きる活力となります。

ところが、以下の理由から家庭での食料品の備蓄が難しい、と感じる人も多いです。

  • 賞味期限の管理ができない
  • 備蓄品を保管するスペースがない
  • どこに何があるかを管理しにくい

これらの問題を解決し、食料品の防災備蓄ができる方法がローリングストックです。ふだんよりも多めに食料品を用意しておき、定期的に消費します。消費した分はまた買い足すことで、賞味期限を切らすことなくつねに一定量の食料品の備蓄が可能となります。また、家庭での食事として備蓄品を定期的に消費することで、収納スペースを圧迫しにくいメリットもあります。

農林水産省では、非常時への備蓄は「日常の一部として普段から無理なく楽しみながら取り入れていくことが大切」としています。日常生活の中で無理なく取り入れられるローリングストックは、食料品の備蓄方法としてスタンダードになりつつあると言えるでしょう。

ローリングストックで備蓄する量や備蓄できる食品とは

災害に備えて、どのくらいの量の食料品を備蓄すればいいか、さらに備蓄に適した食料品とは何かを解説します。

備蓄量の目安

食料品の防災備蓄としての目安量は「3日間」が基本です。ただし、内閣府防災情報ページや農林水産省のローリングストックに関する資料では、「できれば1週間分」が望ましいとしています。特に今後の発生が予測されている「首都直下地震」や「南海トラフ巨大地震」は、被害が広範囲に及ぶ可能性が高いため、物流やライフラインへの甚大な被害も想定されています。復旧への時間も長いことから、1週間分の食料の備蓄をしておけば、より安心です。

  • 食料品は家族の人数×3日間分(できれば1週間分)
  • 飲料水は1人1日3L ×3日間分(できれば1週間分)

ローリングストックできる食料品

ローリングストックは、非常用として開発されたもののほかにも、ふだんの食事としても活用できるものを備蓄するのが特徴です。ローリングストックに適した食料品選びのポイントは、以下の通りです。

  • 常温で保存できるもの
  • 長期間(半年~1年間)保存できるもの
  • そのまま、またはかんたんな調理で食べられるもの

以下のような食品を多めに購入しておき、ローリングストックを活用して備蓄しておきましょう。

  • レトルト食品
  • 缶詰
  • フリーズドライ食品
  • 飲料水
  • お菓子
  • 乾麺
  • 精米
  • 小麦粉やシリアル
  • 乾物

また補助的に冷凍庫で食パンや野菜を冷凍しておき、非常時には自然解凍して食べる方法も有効です。

特殊食品は多めに備蓄を!

赤ちゃんや幼児や高齢者、食品アレルギーのある方が家族にいる場合、配慮をした食料品である以下のような「特殊食品」を備蓄しておく必要があります。

  • ミルク(粉ミルクまたは液体ミルク)
  • ベビーフード(レトルトやパウチ、フリーズドライ、瓶詰のもの)
  • 高齢者向け食品(おかゆなどのやわらかいもの、味付けの薄いもの、食べなれた乾物など)
  • アレルギー対応食品
  • 咀嚼・嚥下困難対応食(レトルト介護食、とろみ調整食品など)
  • 濃厚流動食

特殊商品は物流が止まると手に入りにくくなるのはもちろん、避難所の備蓄として準備していない自治体も多いです。農林水産省では、特殊食については「2週間分」の備蓄を推奨しています。

食品と一緒に備蓄しておきたいもの

非常時より食事を便利に、おいしく食べるために以下のものを一緒に備蓄しておきましょう。

  • カセットコンロとボンベ(ボンベ6本で約1週間分)
  • クーラーボックスと保冷剤
  • 食品用ポリ袋
  • ラップ
  • アルミホイル
  • クッキングシート
  • キッチンペーパー
  • キッチンばさみ
  • 鍋ややかん
  • おたまやトング
  • 除菌スプレーまたはペーパー
  • 使い捨てできる食器

失敗しないローリングストックの備蓄方法

ローリングストックを活用しても、賞味期限や収納の管理がなかなかできないという方も多いですよね。以下の保存のポイントを踏まえておくと、家庭内で上手にローリングストックでの備蓄につながります。

  • カテゴリ別に分けて保管する
  • 目線よりも低い位置に収納する
  • FIFO(※)を心がける
  • 目線よりも低い位置に収納する
  • 封を開けたものはふだんの食品と一緒に保存する

備蓄する食料品をひとまとめにして保存してしまうと、どこに何があるのかが分からなくなってしまいます。レトルトはレトルト、缶詰は缶詰のようにカテゴリ別に分けて保管するのがおすすめです。仕切りをつける、ボックスで分けるなどで保管しましょう。

※FIFOとは「ファーストインファーストアウト」の略で「先入れ先出し」という意味があります。会計やITデータの取り扱い用語として使われることがありますが、在庫管理では先に入れたものから先に出すことで、古いものから在庫を消費できる手法としてもちいられます。 ローリングストックする食料品もFIFOを心がけ、賞味期限の短いものを前に置くようにすれば、賞味期限の古いものから消費できるようになります。賞味期限順から取り出せるように、目線よりも低い場所に収納するのも重要です。

ローリングストックで消費するものでも、一度では使いきれないものもあります。食品は開封した時点で品質が落ちていきます。備蓄の収納に戻すのではなく、ふだんの食品と一緒に保存し、優先的に使い切るようにしましょう。

ローリングストックの上手な活用方法

レトルト食品の写真

ローリングストックの運用方法や実際の災害時の活用方法を順に解説していきます。

1か月に一度の割合で消費するようにする

ローリングストックの上手な運用方法は、定期的に食品を入れ替えながら備蓄することです。1か月に一度を目安に、以下のような方法でローリングストックした食品を定期的に消費するようにしましょう。

  • 夕食のおかずの一品として
  • 休日やテレワーク時の昼食として
  • シリアルなどは朝食として

消費した分の食品は買い足し、ローリングストックを運用していきます。

非常時、災害時は3日目から食べる

ローリングストックで備蓄している食料品が3日間分の場合は、3日目から食べるようにしましょう。1~2日目はご飯や食パン、野菜、冷凍食品などふだんから冷蔵庫のなかにストックしている食品でまかなえることも多いです。ライフラインが止まると冷蔵庫が使えなくなるため、冷蔵庫のなかにあるものを優先して食べていくようにしましょう。

3日目から、ローリングストックで備蓄している食料品も消費していくようにすれば、5~6日間分の食料品を確保できます。

ローリングストックを活用したかんたんキャンプ飯メニュー

ローリングストックの食料品を消費するとき、そのまま食べていると飽きてしまうことがあります。実はローリングストックできる食料品は、キャンプ飯とも相性が良いのです。家庭の食卓で消費するだけでなく、アウトドアシーンのキャンプ飯にもローリングストックの食品は活用できます。

かんたん、おいしいキャンプ飯へのローリングストックの食材活用方法を順に紹介していきます。

メスティンを使った袋インスタントラーメンアレンジ

袋インスタントラーメンは、ふたつに割るとメスティンにぴったりのサイズに。熱伝導性の高いアルミ素材でできているメスティンを使えば、かんたんに袋インスタントラーメンのアレンジメニューが作れます。日清のチキンラーメンのCMでも、メスティンを使ってアウトドアでチキンラーメンを作っていますよね。

そのまま卵を落としても、トマトやチーズを入れてイタリアン風にするのもおすすめです。メスティンのサイズを大きくすれば、コンビニのカット野菜を入れて煮込みラーメンも作れます。

組み合わせ自由自在!レトルトカレー+BBQ

レトルトカレーはスタンダードな味のものから、キーマカレー、グリーンカレー、レッドカレーまで幅広いラインナップがそろっています。特に無印良品のレトルトカレーは具材や辛さ、食感も豊富な商品がそろっているため、ローリングストックしやすい食材のひとつです。

レトルトカレーは1人前ずつでパウチになっていて、クッカーでかんたんに温められることからキャンプ飯としても食べやすい食品です。アレンジとしては、BBQで焼き上げた食材と組み合わせることができます。たとえば旬の焼き野菜と水気の多いレトルトカレーを組み合わせれば、本格的なスープカレーとして楽しめます。もちろん、スペアリブなどのお肉を豪快に乗せるのもおすすめです!

具材としても、出汁としても!ごはん+缶詰

缶詰は携帯性も高いことからローリングストックにもキャンプ飯にも使いやすい食材です。同じくローリングストックしているパックご飯と組み合わせることで、いろいろなキャンプ飯としてアレンジできます。

そのままご飯に乗せて具材として食べる、あさりやカニなど出汁が出るものなら、スキレットで加熱することでリゾットやパエリアも作れます。焼き鳥の缶詰と卵を組み合わせて親子丼を作るなど、キャンプ飯の時短にも役立ちますよ。なお、やけどや破裂の危険性があるため、缶詰は直火にかけないようにしましょう!

まとめ

ローリングストックの概要や上手な運用、活用方法、ローリングストックの食材のキャンプ飯への活用方法をご紹介しました。ローリングストックを取り入れることで、非常食をかしこく、上手に備蓄できます。また、ローリングストックの食材をキャンプ飯に活用することで、定期的な食材の入れ替えができるだけでなく、非常時でもおいしくて温かい食材を食べられる調理スキルも身に着けられます。いつか起きるか分からない災害に備えて、今日からローリングストックをはじめてみませんか。

森野 ミヤ子

神奈川県小田原市生まれ。海と山が身近にある環境で育つ。宮城県仙台市への転居をきっかけに防災分野を勉強し始める。2016年より専業WEBライターとして防災、減災、BCP、アウトドア含め様々なジャンルを執筆中。防災士資格取得済み。2児の母。