災コラム

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防災のプロが教える|おすすめ防災グッズと意外な落とし穴

2025/01/17

出典:PhotoAC

地震を含めたあらゆる災害は、いつ起こるか分かりません。しかし、適切な準備があれば、その影響を大きく軽減できます。

一般的に推奨される防災グッズの中には、実際の災害時にはあまり役に立たないものもあります。逆に、見落とされがちでも非常に重要なアイテムもあるのです。

そこで今回は防災のプロの視点から、効果的な防災対策をするには必要不可欠なグッズを紹介すると共に、よくいわれているけれど実は、それほど重要でないものについても明らかにします。

この記事を読むことで、みなさんの防災対策の見直しができ、より実践的で効果的な備えができるでしょう。家族の安全を守るため、ぜひ参考にしてください。

防災グッズの基本|備蓄用と持ち出し用

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防災グッズは、大きく分けて「備蓄用」と「持ち出し用」の2種類があります。

備蓄用は長期間の避難生活を想定します。一方、持ち出し用は避難所への避難時に、必要最小限のものを素早く持ち出せるように準備します。

両者の特性を理解し適切に準備することが、効果的な防災対策となるでしょう。

備蓄用防災グッズ

備蓄用防災グッズは、自宅で長期間の避難生活を想定して準備します。一般的に1週間分の食料や水、生活必需品を用意します。

持ち運ぶ必要がなく重量制限がないため、十分な量を確保できるメリットがあり、各家庭で最適な保管方法は異なりますが、コンテナボックスや衣装ケースなどに保管すると、まとめやすく便利です。

停電や断水などの、ライフライン停止にも対応できるよう準備しましょう。

持ち出し用防災グッズ

持ち出し用防災グッズは、避難所への移動を想定し、リュックサックなどに必要最小限のものを詰めておきます。

両手が使えるよう、背負えるタイプがおすすめ。重量は10〜15kg程度に抑え、1日分程度の食料や水・貴重品・衛生用品など、緊急時に必要不可欠なものを中心に準備します。

プロが推奨する本当に必要な防災グッズ

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防災の専門家や経験者が推奨する防災グッズは、単なる備えではなく、実際の災害時に真に役立つものばかりです。

これらはご自身や家族の命を守り、安全を確保し、衛生状態を維持するための必需品です。本当に必要な防災グッズを知り適切に準備することで、いざという時の対応力が格段にアップします。

自宅避難なのか避難所への移動かを検討して、以下のアイテムを適切に準備することで、災害時の生存確率を大きく高められます。

命を守る必需品

命を守る必需品は、災害発生直後の生存率を高める上で極めて重要です。

  • 最低3日~7日分の飲料水と非常食
  • 南海トラフ地震の影響を受ける地域では最低7日分
  • カセットコンロと予備のボンベ
  • 救急用品や常用薬
  • 懐中電灯やヘッドライト
  • 携帯ラジオ

まず、十分な量の飲料水と非常食は必須であり、最低3日分から1週間分を用意しましょう。特に、南海トラフ地震の影響を受ける地域では、最低7日分が必要です。

南海トラフ地震の被害は広範囲に及ぶと予想され、救援物資が届くのに約7日はかかるとされているからです。

非常食は調理不要で、長期保存可能なものを選びます。ただ、カセットコンロと予備のボンベを用意しておけば、自宅避難の場合は簡単な調理が可能です。

例えば、ガスや電気が使えなくてもカセットコンロで、冷蔵庫の中にある食材を調理することで、1~2食分をまかなえます。

次に、救急用品も欠かせません。消毒液・絆創膏・ガーゼ・テーピングなどの基本的な医療品に加え、持病がある人は常用薬の備蓄も重要です。

また、懐中電灯やヘッドライトなどの照明器具は、停電時の行動を助け、二次災害を防ぐ役割を果たします。

さらに、携帯ラジオは災害情報の入手に不可欠です。電池式やソーラー充電式、手回し充電式など、複数の電源方式に対応したものが理想的です。

安全確保のための重要アイテム

安全確保のための重要アイテムは、二次災害を防ぎ避難や救助活動を、スムーズに行うために必要不可欠です。

  • ヘルメットや防災頭巾
  • 軍手や革手袋
  • 密閉性の高いマスク
  • ホイッスル
  • 防水性の高い防災バッグやリュック
  • モバイルバッテリーや充電器

まず、ヘルメットや防災頭巾は、落下物から頭部を守る重要な役割を果たします。特に就寝時にも、近くに置いておくことが推奨されます。

次に、軍手や革手袋は、ガラスや瓦礫などから手を保護し、安全な作業を可能にします。また、密閉性の高いマスクは、倒壊した建物からの粉塵や、火災時の煙から呼吸器を守ります。

さらにホイッスルは、自身の位置を知らせるのに効果的で、救助を求める際に重要です。

防水性の高い防災バッグやリュックは、これらのアイテムを一括して収納し、迅速な避難を可能にします。高価なものでなくても、厚手のナイロン製でしっかりしたリュックで十分です。

また、スマートフォン用のモバイルバッテリーや充電器は、通信手段の確保に不可欠です。これらのアイテムを適切に準備し、使用方法を事前に確認しておくことで、災害時の安全性が大幅にアップします。

衛生と健康を維持するグッズ

衛生と健康を維持するグッズは、長期化する可能性のある避難生活において極めて重要です。

  • ウェットティッシュや消毒液
  • トイレットペーパーや携帯トイレ
  • 歯ブラシ、歯磨き粉、タオル
  • 使い捨てカイロ
  • マスク(多いほどよい)
  • 個人の健康状態に応じた必需品

まず、ウェットティッシュや消毒液は、手や身体の清潔を保つのに役立ちます。特に、使える水が限られた状況下では、貴重なアイテムとなります。

トイレットペーパーや携帯トイレは、避難所でのトイレ使用が制限される場合に備えて必要です。女性の場合は、生理用品も忘れずに準備しましょう。

歯ブラシや歯磨き粉、タオルなどの日用品も、最低限の衛生状態を保つために欠かせません。また、使い捨てカイロは、寒さ対策として体温維持に役立ちます。

先に紹介した「安全確保のための重要アイテム」と重複しますが、マスクは感染症予防に重要で、特に避難所など人が密集する環境では必須アイテムです。

また、常備薬や持病の薬、眼鏡やコンタクトレンズなど、個人の健康状態に応じた必需品も忘れずに用意しましょう。

意外と不要?再考すべき防災グッズ

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防災グッズの準備は重要ですが、中には実際の災害時にあまり役立たないものや、過剰な備えとなっているものもあります。

限られたスペースと予算を効果的に活用するためには、本当に必要なものを見極める必要があります。

ここでは、一般的に推奨されているものの、実際には再考の余地がある防災グッズについて考えてみましょう。適切な判断で、より実践的で効果的な防災準備が可能になります。

過剰な備蓄品

防災意識が高まるなか「備えあれば憂いなし」の考えから、過剰な備蓄をしてしまう方も少なくありません。しかし、実際の災害時に全てが必要になる訳ではないのです。

例えば、食料や水の備蓄は重要ですが、推奨される1週間分を大きく超える量を用意する必要はありません。

過剰な備蓄は保管スペースの問題だけでなく、賞味期限の管理も難しくなります。また、災害時に全てを持ち出すことも困難です。食料や水の備蓄の基本は「ローリングストック」です。一気に買いだめするのでなく「購入⇒消費⇒購入」を繰り返すことで、賞味期限や消費期限を気にすることなく備蓄できます。

同様に、医薬品の過剰な備蓄も避けるべきです。使用頻度の低い薬や、大量の同じ種類の薬を備蓄するよりも、日常的に使用する薬を適量保管し、定期的に新しいものと交換する方が効果的です。

また、高価な多機能防災グッズも再考の余地があります。例えば、高額なポータブル電源をわざわざ備蓄用に購入しなくても、ランタンやヘッドライト、予備の乾電池、複数台のモバイルバッテリーを選ぶ方が安価で実用的です。

過剰な備蓄を避け、本当に必要な量と種類を見極めることで、より効率的で実用的な防災準備が可能になります。定期的に備蓄品を見直し、適切な量と種類を維持することが重要です。

代替可能なアイテム

防災グッズの中には、日常生活で使用しているものや、他のアイテムで代用可能なものが多くあります。これらを見直すことで、より効率的な防災準備が可能になります。

例えば、専用の防災用品として販売されている食器類は、必ずしも必要ではありません。日常使用している軽量でプラスチック製の食器や、使い捨ての紙皿などで十分代用できます。

専用の防災用ウェアも再考の余地があります。近年ではサバイバル的な要素を取り入れたウェアが多く販売されており、カッコよさで選ぶ方も少なくありません。

しかし、季節に応じた普段着や、動きやすい服装を選んで準備することで十分です。特に、成長が早い子供のいる家庭では専用の防災服を用意するよりも、普段着の中から適したものを選ぶ方が現実的です。

さらに、高価な多機能ナイフよりも、はさみやカッターナイフなど日常的に使用する道具で代用できるケースも多いです。これらは使い慣れているため、緊急時にも安全に使用できるメリットがあります。

照明器具についても専用の防災用ライトよりも、日常で使用している懐中電灯や、スマートフォンのライト機能、1,000円以下で手に入る乾電池式のLEDランタンなどで十分な場合が多いです。

季節別対策|冬の防災に必要なグッズ

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冬季の災害は「寒さ」というリスクが追加され、低温による体調悪化や凍傷、積雪による移動の困難さなど、夏とは異なる課題に直面します。

そのため、冬の防災グッズは通常の備えに加え、寒さ対策を重点的に考える必要があります。適切な防寒具や暖房器具の準備は、生存率を大きく左右するため重要です。

ここでは、冬季特有の防災グッズと注意点について詳しく見ていきましょう。

寒さ対策の必需品

  • ダウンジャケットやフリース
  • 薄手の下着や中間着も重要
  • 手袋、マフラー、ネックウォーマー、帽子
  • 厚手の靴下と防水性のある冬用ブーツ
  • 使い捨てカイロ
  • 寝袋や毛布、アルミブランケット(自宅避難以外で重要)
  • ポータブル暖房器具
  • カセットコンロや保温ボトル

冬の防災において、寒さ対策は最優先事項の1つであり、防寒着は必須アイテムです。ダウンジャケットやフリースなど、軽量で保温性の高い衣類を用意しましょう。

重ね着ができるよう、薄手の下着や中間着も重要です。手袋・マフラー・帽子なども忘れずに準備し、体温の逃げやすい部分を守ります。移動中や避難所での首元の保温には、ネックウォーマーがおすすめです。

足元の防寒も重要で、厚手の靴下と防水性のある冬用ブーツは、凍傷予防に効果的です。使い捨てカイロは、手足や体の中心部を温めるのに役立つため、大量に用意しておくと安心です。

避難所やテント避難、車中泊を選択する方は、寝袋や毛布も重要な防寒アイテムです。特に、マイナス15度にも対応できる高性能な寝袋があれば、体育館などの避難所や屋外での避難時にも安心です。

アルミブランケットは軽量で保温性が高く、緊急時の体温維持に効果的です。ポータブル暖房器具も考慮に値します。カセットガスストーブなどはマルチに活躍しますが、室内使用時は換気に十分注意が必要です。

また、温かい飲み物を作るためのカセットコンロや保温ボトルも役立ちます。体を内側から温めることで、効果的に体温を維持できます。

これらのアイテムを、避難場所に応じて適切に準備することで、冬季の災害時でも体温を維持し、健康を守ることが可能です。

冬特有の避難時における注意点

  • スノーブーツや滑り止め付きの靴
  • ヘッドライトやLEDランタンなどの照明器具
  • 反射材付きの衣類やバッグ
  • 転倒リスクに注意
  • 火災対策も重要
  • 飲料水の備蓄を増やす

冬季の避難には、夏とは異なる特有の注意点があります。特に雪が積もる地域だけでなく、普段雪が降らない地域でも災害時に雪が降ることや、気温が氷点下になることはあり得ます。

そのため、積雪や凍結による移動の困難さを考慮する必要があり、スノーブーツや滑り止め付きの靴などの準備が重要です。また、スノーショベルがあれば、雪に埋もれた車や避難経路の確保に役立ちます。

積雪する地域では、移動中の視界不良対策も重要となり、冬は日が短く吹雪などで視界が悪化することも多いため、ヘッドライトやLEDランタンなどの照明器具は必須です。

反射材付きの衣類やバッグも、自身の位置を知らせるのに効果的です。また、凍結によるリスクも高まるため、特に高齢者や子どもは注意しましょう。

また、冬は火災のリスクも高まり、暖房器具の使用増加や停電時の代替暖房手段(ろうそくなど)が原因で、火災が起きる可能性が高まります。そのため、消火器や火災報知器の点検、避難経路の確認は特に重要です。

水道管の凍結も冬特有の問題で、断水しなくても水道が使えないケースがあります。そのため、冬場は飲料水の備蓄を増やすとよいでしょう。

「防災とボランティアの日」を機に見直そう

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毎年1月17日は「防災とボランティアの日」です。阪神・淡路大震災から30年が経過しようとしていますが、近年でも大規模な自然災害が頻発しています。

この機会に、私たちの防災への備えを見直してみましょう。日頃からの準備と心構えが、いざという時の大きな力となります。家族や地域の安全を守るため、防災対策を再確認し、実践的な取り組みを始めましょう。

定期的な防災グッズのチェックポイント

防災グッズは、定期的なチェックが欠かせません。まず、非常食や飲料水の賞味期限を確認し、必要に応じて交換することが重要です。

電池式のラジオや懐中電灯は、電池の液漏れや劣化がないか点検し、予備の電池も用意しておきます。救急箱の中身も確認し、使用期限が切れた薬品は新しいものに替えましょう。

季節に応じた衣類や毛布なども、適切に更新することが大切です。また、家族構成や生活環境の変化に合わせて、必要なものを追加したり不要なものを整理したりすることも重要です。

これらのチェックを少なくとも年に2回は行い、いつでも使える状態を保つことが大切です。

家族で行う防災訓練のすすめ

家族全員で防災訓練を行うことは、実際の災害時に冷静に行動するための重要な準備となります。

まず、家族で災害時の避難場所や連絡方法を確認し、それぞれの役割を決めておきます。次に、自宅内の安全な場所や家具の固定状況を確認し、避難所までの経路を実際に歩いてみることも大切です。

消火器の使い方や、ガス・電気の安全な遮断方法も、全員で確認しておきましょう。また、非常持ち出し袋の中身を家族で点検し、必要に応じて内容を見直すことも有効です。

さらに、地域の防災訓練に参加することで、近隣住民との協力体制を築くメリットが生まれます。

まとめ|効果的な防災対策のポイント

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効果的な防災対策には、3つの重要なポイントがあります。まず、必要最小限の備えを確実に行うことです。過剰な準備よりも、実際に使える実用的な防災グッズを揃えることが大切です。

次に、定期的な見直しと更新を忘れないことです。防災グッズの賞味期限チェックや、家族構成の変化に応じた内容の調整を行います。

最後に、家族全員で防災意識を共有することが重要です。定期的な防災訓練や話し合いを通じて、各自の役割や避難計画を確認し合いましょう。

これらのポイントを押さえることで、いざという時に適切に対応できる体制を整えることが可能になります。防災は日々の小さな積み重ねが、大きな安心につながりますからね。

スタッフ

被災経験のあるスタッフにも聞いてみました!

普段めがねやコンタクトを使用している人は、枕元にめがねを置いておくのをオススメします。
以前地震で被災した際に、裸眼で部屋を歩いたことで、割れたガラスを踏んで怪我をしてしまいました。それ以降、必ずめがねを枕元に置いています!
持ち出し用のリュックにも予備のめがねを入れておきましょう。
子どものオムツなどの衛生用品も忘れずに。

栗栖 成之

1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!