災コラム

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防災カレンダーで備える安全な暮らし!月別防災・防犯・衛生対策

2024/11/15

11月に入り、今年も残りわずかとなりましたね。2024年の元旦には能登半島で大地震が発生し、驚きの年明けとなりました。

また、8月8日には日向灘を震源として発生したマグニチュード7.1の地震が発生。それにより、はじめての「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表され、SNS上ではデマ情報も飛び交う始末。
さらに、地球温暖化の影響から豪雨も多発し、全国各地で浸水被害が起きています。

これらのリスクに備えるためには、適切な対策を講じることが重要です。さらに、防災だけではなく、日常的に防犯や衛生に関する意識も高めましょう。

そこで今回は、1月から12月までの各月ごとに、推奨される行動をまとめた「防災カレンダー」をご紹介。また、後半では知っておくとイザという時に役に立つ「防災豆知識」もお伝えします。

防災カレンダー|災害だけでなく日常生活を守る

家族

このカレンダーでは、季節ごとの特性やリスクを考慮し、毎月実施すべき具体的な対策を分かりやすくまとめました。地震や豪雨だけでなく、猛暑や感染症、さらにはカビ対策まで幅広くカバーしています。

家族や地域社会を守るために、ぜひこのカレンダーを参考にして、日常生活に取り入れてみてください。

防災カレンダーの概要

まずは、防災カレンダーの概要を紹介しましょう。

主なテーマ推奨される行動
1月冬の防災暖房器具の点検、凍結対策
2月火災予防住宅用火災警報器の点検
3月地震対策家具の固定、非常食の確認
4月新生活の安全防犯対策、避難経路の確認
5月風水害への備え排水溝の清掃、ハザードマップの確認
6月梅雨対策雨具の点検、カビ対策
7月熱中症予防冷房器具の点検、水分補給の準備
8月台風対策窓ガラスの補強、非常用持ち出し袋の確認
9月防災の日総合的な防災訓練、備蓄品の確認
10月防犯対策戸締まりの確認、防犯灯の点検
11月感染症対策インフルエンザ予防接種、換気対策
12月年末年始の安全火の元確認、救急医療機関の確認

以上が、各月での推奨される行動です。それでは、次から各月の行動を詳しく紹介していきましょう。

1月 冬の防災:暖房器具の点検、凍結対策

1月は厳しい寒さに備える月です。暖房器具の安全点検を行い、一酸化炭素中毒を防ぐため換気にも注意しましょう。

凍結による水道管の破裂を防ぐため、寒冷地では水抜きや保温対策を行います。また、積雪地域では除雪用具の準備や雪下ろしの計画を立てましょう。冬季特有の災害に備え、防寒具や滑り止めなどの準備も忘れずに。

2月 火災予防:住宅用火災警報器の点検

火災件数は1月から増え続け3月にピークを迎えます。春季の火災予防週間は毎年3月1日~7日なので、その前月となる2月に早めの火災予防をしておきましょう。

住宅用火災警報器の点検と電池交換を行い、暖房器具周辺の可燃物を整理し、就寝時や外出時には必ず暖房器具の電源を切る習慣をつけます。

特に、住宅火災の原因の多くには、石油ストーブや電気ストーブの不始末が挙げられます。つけっぱなしで寝るのはNG行為です。

また、消火器の設置場所と使用方法を家族で確認し、マンションなどでは避難経路も再確認しておきましょう。火災予防の意識を高め、安全な生活環境を整えることが重要です。

3月 地震対策:家具の固定、非常食の確認

3月11日は東日本大震災の発生日です。この機会に地震対策を見直しましょう。家具や電化製品の固定を確認し、必要に応じて補強します。

非常食や飲料水の賞味期限をチェックし、古いものは新しいものと交換します。家族で避難場所や連絡方法を確認し、ハザードマップを使って地域の危険箇所を把握します。また、簡易トイレなどの衛生用品も準備しておくことが大切です。

4月 新生活の安全:防犯対策、避難経路の確認

新年度が始まる4月は、新しい環境での安全対策が重要です。新居や新しい通勤・通学路の防犯対策を見直し、空き巣対策など必要に応じてセキュリティシステムの導入を検討しましょう。

また、新しい地域の避難場所や避難経路を確認し、家族や同居者と共有します。地域の防災訓練や町内会の活動に参加し、コミュニティとのつながりを深めることも大切です。

5月 風水害への備え:排水溝の清掃、ハザードマップの確認

5月は北海道を除く全国で「水防月間」になっており、梅雨や台風シーズンを前に風水害対策を行います。自宅周辺の排水溝や側溝を清掃し雨水の流れをスムーズにするため、多くの自治体で溝掃除が実施されています。

ハザードマップで自宅周辺の浸水リスクを確認し、必要に応じて土のうや止水板を準備します。また、ベランダや庭の植木鉢や物干し竿など、強風で飛ばされる可能性のある物の固定や収納方法を確認しておきましょう。

6月 梅雨対策:雨具の点検、カビ対策

梅雨時期は湿気対策が重要です。除湿機や防湿剤を活用し、室内の湿度管理に気を配りましょう。雨具や長靴の点検を行い、必要に応じて新調します。

カビ対策として、こまめな換気や掃除を心がけ、特に浴室やキッチンなど湿気の多い場所に注意を払います。また、大雨による浸水や土砂災害に備え早めの避難判断ができるよう、気象情報の入手方法を確認しておきましょう。

7月 熱中症予防:冷房器具の点検、水分補給の準備

7月は本格的な夏を迎え、熱中症対策が重要になります。エアコンや扇風機などの冷房器具を点検し、適切に使用できるようフィルターの掃除などを行います。

外出時用の日傘や帽子、冷却グッズの準備も忘れずに。水分補給用のペットボトルや経口補水液を常備し、こまめな水分摂取を心がけます。

高齢者や子どもは特に注意が必要なため、家族が気を配り、サポートすることが大切です。マスク着用時は更に注意が必要なので、適切な着脱を心がけましょう。

8月 台風対策:窓ガラスの補強、非常用持ち出し袋の確認

台風シーズンを迎える8月は、事前の備えが重要です。窓ガラスには飛散防止フィルムや養生テープを貼るなどの補強を行い、強風による飛来物から身を守りましょう。

台風の接近が発表されたら、ベランダや庭の植木鉢、自転車などは室内に収納するか、しっかりと固定します。

非常用持ち出し袋の中身を確認し、必要に応じて内容を更新しておくことも大切です。また、停電に備えて懐中電灯や携帯ラジオ、モバイルバッテリーの準備も忘れずに。

9月 防災の日:総合的な防災訓練、備蓄品の確認

9月1日は防災の日です。この機会に総合的な防災訓練を行いましょう。家族で避難経路の確認や連絡方法の再確認を行い、実際に避難所まで歩いて安全な移動ルートの確認をすることをおすすめします。

備蓄品の賞味期限や使用可能期限を確認し、必要に応じて新しいものと交換します。また、地域の防災訓練に参加し、近隣住民との協力体制を築くことも重要です。

さらに、防災週間である9月5日までは、災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言場(Web171)の体験利用が可能です。ぜひ、この機会にそれぞれの使い方を家族全員で習得しておきましょう。

10月 防犯対策:戸締まりの確認、防犯灯の点検

日が短くなる10月は、防犯対策を見直すよい機会です。門灯や玄関灯などの防犯灯を点検し、必要に応じてLED電球に交換するなど、省エネと防犯を両立させましょう。

窓や扉の鍵の確認を行い、古くなった錠前は新しいものに交換します。また、防犯カメラやセンサーライトの設置を検討するのもよいアイデアです。地域の防犯パトロールに参加するなど、コミュニティ全体での防犯意識を高めることも大切です。

11月 感染症対策:インフルエンザ予防接種、換気対策

寒さが増す11月は、インフルエンザなどの感染症対策が重要です。予防接種を受けるとともに、マスクの着用や手洗い、うがいの習慣を再確認しましょう。

室内の換気を心がけ、加湿器を使用して適切な湿度を保ちます。また、ノロウイルス対策として、調理器具や食器の消毒、トイレの清掃にも気を配りましょう。体調管理に気を付け、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事を心がけます。

12月 年末年始の安全:火の元確認、救急医療機関の確認

年末年始は火災や事故が増える時期です。大掃除の際は電気コードの劣化や配線の確認を行い、たこ足配線があれば見直します。

年末年始の長期外出時は、戸締まりの再確認と近隣への声かけを忘れずに。また、この時期は救急搬送が増加するため、地域の救急医療機関の連絡先や診療時間を確認しておくことは重要です。

年越しの際の火の元確認も徹底し、安全に新年を迎える準備を行いましょう。

知っておきたい防災豆知識

ここまでで、各月ごとに推奨される行動をまとめた「防災カレンダー」を紹介しました。ここでは、災害に備えて知っておくべき防災の豆知識をいくつかご紹介します。

既にご存じの方もいるかもしれませんが、改めて一緒に確認してくださいね。

日常的な備え:新聞紙の活用

新聞紙はさまざまな用途に使える便利なアイテムで、約10日分の新聞紙を保管しておくと、災害時に活用します。

【寒さ対策】

  • 新聞紙を腹巻のように体に巻き付け、その上から服を着ることで保温効果が高まります。
  • 足を入れたビニール袋の中に丸めた新聞紙を入れると、足元の冷え対策になります。

【簡易トイレの作成】

新聞紙とビニール袋を組み合わせることで、簡易トイレを作ることができます。ネコ砂を併用すると、臭いや水分の吸収に効果的です。具体的には次の手順で完成します。

  1. 便座を上げる
  2. 便器の開口部を全て覆うようにポリ袋をセット
  3. 便座を下ろし2枚目のビニール袋を、便座を巻くようにセット
  4. 2枚目のポリ袋の上に、ちぎった新聞紙を丸めてたくさん入れる
    ※ネコ砂を一緒に入れると吸水力がアップする

【食器の代用】

新聞紙を折り、ラップやビニールで覆うことで、簡易的な皿やコップを作ることができます。

懐中電灯の活用

台風時には停電することが多く、キャンプ用のランタンがあればベストですが、すべての家庭で備えてはいないでしょう。ただ、懐中電灯はほとんどの家庭で常備しているはずです。

そこで懐中電灯を以下のように利用すれば、光が拡散されてランタンのように部屋を明るく照らせます。

  • ペットボトルの上部を切り取り中に懐中電灯を立てて入れ、水の入ったペットボトルを上に乗せると、光が拡散されてランタンのように使えます。
  • 白いビニール袋を膨らませて懐中電灯に被せても、同様の効果が得られます。

その他の便利なアイテム

  • 100円ショップのレインコート:雨だけでなく、火山灰・ほこり・風・防寒対策にも使える多目的アイテムです。
  • ポリ袋: 手袋の代わりとして使用でき、衛生面で役立ちます。
  • 500mlペットボトルの水: 飲料水として便利で、持ち運びやすいサイズです。

災害時の対応|ガスコンロ使用中は身の安全の確保が優先

防災クイズです。
「ガスコンロで料理中に地震が起きたら?」次の回答のどちらが正解でしょう?

A:火災が起きる心配があるため、ガスコンロの火を最初に消す
B:すぐに安全な場所に避難し、揺れが収まってからスイッチをオフにする

さてAまたはB、どちらが正解でしょう?
答えは「B」です!しかし、このクイズは半数以上の方が「A」と答えています。

現在のガスメーターは都市ガス・プロパンガスとも、震度5強相当を感知すると自動的にメーターでガスを遮断します。

従って強い揺れが起きても、自動でガスコンロの火が消えるため火災の心配はありません。よって、大きな揺れを感じたら身の安全の確保が最優先となります。

まとめ

今回は、季節ごとに変化する自然災害のリスクや生活環境の変化に合わせて、月別に必要な対策をまとめた「防災カレンダー」を紹介しました。

重要なのは、このカレンダーを単なる情報として見るだけでなく、実際の行動に移すことです。家族や地域コミュニティと共に、定期的に防災対策を見直し訓練を行うことで、災害時の対応力が格段にアップするはずです。

また、記事後半でお伝えしている「防災豆知識」も、いざという時に役立ちます。本記事の情報を参考にして行動することで、安全で安心な生活になるよう役立ててもらえると幸いです。

栗栖 成之

1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!