防災コラム
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冬の災害に備えておきたい、便利な防災グッズをご紹介!
2022/10/14
災害はいつ起きるか分かりませんから、1年中対策が必要となります。ですが、夏に備えた防災グッズがそのまま冬場の災害に利用できることはあまりありません。
冬場に起きる災害では、防寒対策が重要となるため、避難時の荷物が特に多くなりがちですよね。そこで、今回は冬の災害に備えておきたい防災グッズをご紹介します。
自宅避難する場合は備蓄と簡易トイレが必要
自宅避難をする場合、衣替えなどの冬支度が整っているはずです。従って、持ち出すものを選択する面倒はありませんし、万一停電でエアコンが使えなくても、布団や毛布があるので防寒対策はできます。しかし、飲料水や食料、簡易トイレの準備は必要です。
飲料水や食料の備蓄は必要
自宅避難の場合は1年を通して、飲料水や食料などの備蓄が必須となります。夏場と冬場とで特に変ることはなく、いつもの買い物で好きな保存食を購入しておけば大丈夫です。
飲料水も同様に、買い物時に少しずつ購入してストックするようにすれば、あまり重たい思いをしなくて済みます。
カセットコンロとボンベは必需品
自宅避難の場合は、避難所のように食料の配給や炊き出しなどが利用できないので、水を沸かし簡単な調理ができる、カセットコンロと予備のボンベは必需品です。
これらは普段から忘れないように、備えておくことをおすすめします。
簡易トイレも必須となる
自宅避難で忘れてはならないのが、簡易トイレです。下水道管に問題がなく、断水で水が使えないだけならお風呂の残り湯を使ってトイレを流すことが可能です。
ただし、お風呂の残り湯には限りがあるので、断水期間が長期になると利用できません。また、地震災害で下水管が壊れている時や、大雨で下水道がいっぱいになっている時には、下水を流すと逆流して大変なことになりかねません。
下水を流していいか分からない場合は、簡易トイレを使うことをおすすめします。
マンガで分かる、災害時のトイレの使い方
災害時のトイレの使い方については国土交通省から「災害時のトイレ、どうする?」というマンガが公開されています。
とても分かりやすく、読めば「なるほど~」と納得する内容になっていますので、ご紹介しておきますね。
災害時のトイレ、どうする?
https://www.mlit.go.jp/common/001180224.pdf簡易トイレの作り方
簡易トイレは、45ℓのポリ袋と新聞紙、固形剤があれば、家庭のトイレをそのまま簡易トイレにすることが可能です。
文字で説明するよりも動画を見た方が分かりやすいので、ここでは豊中市役所が公開している動画をご紹介します。動画内では透明のポリ袋を使っていますが、厚手の黒いポリ袋を使うことをおすすめします。
YouTube動画
毎日使えて便利!避難所に避難する際に必要な冬の防災グッズ
それでは、避難所に避難する際に必要な防災グッズをご紹介します。冬の体育館などの公共の避難所では、寒さ対策が重要です。
とはいっても、避難時に持っていける荷物の量は限りがあるので、何でも持っていける訳ではありません。災害時だけでなく、毎日使えて防寒に役立つ防災グッズをご紹介します。
その1:ネックウォーマー
首を暖めておけば寒さを軽減できますから、ネックウォーマーはおすすめです。避難時に装着して避難すれば荷物にもなりません。
その2:ウエストウォーマー(腹巻)
腹巻と聞くとお年寄りが使うイメージが強いかも知れませんが、現代ではオシャレで機能的なウエストウォーマーがたくさん販売されています。男性でも女性でも年齢問わず、防寒対策に毎日利用できるアイテムであり、これも装着したまま避難できるので便利です。
その3:使い捨てカイロ
使い捨てカイロを普段から利用される方も多いですが、避難時には特に役に立ちます。腰や背中、首、足首などに貼っておくと寒さ対策として有効です。
また、若干温かさがなくなってきたカイロでも、複数枚をペットボトルの周りに貼って輪ゴムなどで止めると、ペットボトルのお茶を温かくすることもできるので、意外と万能に使えます。
普段から買い置きして、避難所に多めに持っていくといいですよ。
その4:分厚いセーターよりも薄手の重ね着が有効
寒いからと分厚いセーターを持っていくと、荷物がかさばってしまいます。それよりも、薄手の服を重ね着する方が体温を逃がさず、保温効果が高くなるので有効です。
下着を1枚から2枚にするなど、持ち運びしやすい薄手の服を選んで重ね着することをおすすめします。もちろん、上着はダウンやジャンパーなど、しっかり防寒対策のとれる服が良いです。
避難用の冬の防災グッズ
今度は毎日の生活では使わないけれど、寒さが厳しい避難所に便利な防災グッズをご紹介します。まず、ご自身が避難する避難所の設備を確認しておくと、便利であることをお伝えしましょう。
避難する避難所の設備について
避難所ではエコノミークラス症候群対策や近年の新型コロナウイルスの影響で、段ボールベッドが備えられている避難所が多くなっています。
【編集部追記】
飛沫は埃と混じり床に残留する場合があるため、ダンボールベッドなどで床との距離を離すことが感染対策になるそうです。
段ボールベッドが割り当てられるなら、体育館の床の冷え込みをそれほど考えなくてよいので、持っていくものが変ります。「○○市 避難所」など自治体名を入れて検索すると、避難所についての問い合わせ先が分かるので、該当の避難所では段ボールベッドが利用可能かを確認しておくといいですよ。
フード付きアルミブランケット・ポンチョタイプ
出典:楽天市場https://item.rakuten.co.jp/cogit/004640/
アルミブランケットは防災グッズとして有名ですが、1枚ものだと使いにくいのが欠点です。確かに暖かいですが、常時手で閉じたりテープで止めたりと実際に使ってみると意外に面倒です。
そこでおすすめなのが、画像のようなポンチョ型のアルミブランケットです。これなら、手を放しても大丈夫ですし、トイレや着替え時の目隠しに使えて便利です。
インナーフリース
出典:楽天市場https://item.rakuten.co.jp/gorilla55/in-sf/
寝袋を持っていければいいのですが冬用の寝袋はかさばるので、避難時に持ちだしにくいのも事実です。持ち出せる余裕のある方は、寝袋があると暖かく避難所生活が送れます。
そうでない方には、インナーフリースがおすすめです。フリース素材のシュラフで軽量コンパクトなので、避難時のリュックに収まります。
日中はひざ掛けや毛布として利用できますし、就寝時には先のアルミブランケットの中で使えば暖かく過ごせます。避難所で支給される毛布を下に敷いてクッション替わりにも使えるので、避難所でもしっかり睡眠をとることが可能です。
マスク
新型コロナウイルスやインフルエンザの感染対策として、マスクは欠かせません。また、顔全体を覆うような大きなマスクなら防寒にも役立ちます。あらかじめ多めの枚数を持ち出し袋に備えておくとよいでしょう。
ラップを身体に巻くなどのサバイバル系は、実はよくない
ラップで足元や身体を巻きつける、新聞紙を身体に巻くなど、いわばサバイバル系の防寒対策はあまり身体によくありません。
例えば、ラップを巻きつける方法は確かに暖かいのですが、ラップ内で湿気が発生して皮膚炎を起こす可能性が高くなりますし、ラップを24時間巻いていると違和感を覚えてしまうことがほとんどです。
常に使える技ではありませんし、巻くのにも手間がかかります。それにそこまでしなくても避難所で暖を取る方法はたくさんあるので、サバイバル系はあまりおすすめできません。
快適に避難するならホテルや旅館に避難する
大規模な被害を受けて長期の避難生活を送るなら、公的な避難所を利用した方が費用的に助かります。そうではなく、1、2日ほど短期に避難するなら、ホテルや旅館への避難もおすすめです。
プライバシーが保てて快適に過ごせる
避難所では残念ながら、完全なプライバシーを守ることはできません。家族単位でブロックを作るようになっていますが、それでも通路からは見えるケースもあります。
特に小さなお子さんや赤ちゃんがいると、周囲に気を使ってしまい避難所疲れに陥ってしまいます。そこでプライバシーが保てて寒さも感じない、快適に過ごせるホテル避難がおすすめです。
食事や寝具の心配もいらないので防災グッズが必要ない
ホテルや旅館への避難では食事や寝具の心配がありません。従って、荷物は最小限ですみます。
台風などの予測可能な災害時では、事前に地域外のホテルや旅館に予約をとって避難できるのもメリットのひとつです。
雪道の渋滞用に携帯トイレを準備しておくと便利
普段でも事故などで渋滞すると車中に閉じ込められてしまい、トイレにとても困った状態になってしまいます。雪道ではスリップ事故が起きる可能性が高く、事故渋滞で全く動かないケースは毎年見られます。そこで車に常備しておきたいのが、携帯トイレです。
大小利用可能で大容量タイプの「万能トイレくん」がおすすめ
楽天市場
https://item.rakuten.co.jp/kc-direct/4934927114770/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_109_1_10000237/
携帯トイレはさまざまなメーカーから販売されていますが、購入時に注意する点がいくつかあります
- 容量が500㎖と少ない
- 使用後に分別する必要がある
- 大便には使えない
このような携帯トイレも多く販売されていますから、購入時には使用条件を確認することが大切です。
大人の1回あたりに排尿する量は約400㎖といわれていますが、個人差があり特に冬場で冷え込んでいる際に我慢に我慢を重ねていた場合は、相当量になるはずです。
そこで、次の条件を満たす携帯トイレがおすすめです。
- 1,000㎖と大容量
- 男女両方が利用可能
- 大便小便に対応
- そのまま固まり可燃物として捨てられる
この条件を満たしているのが「万能トイレくん」です。口が広いので、乗り物酔いした際の汚物入れとしても活躍します。
滅多に雪が積もらない地域ではタイヤチェーンを準備
出典:楽天市場
https://item.rakuten.co.jp/kr-trading/carli-kr/?scid=s_kwa_pla_unpaid_210013
冬は雪害に注意しなくてはいけません。特に雪道に対して車の装備は必要で、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを準備して、雪道でも安全に走行できることが大切です。
毎年雪が積もる地域ではスタッドレスタイヤを用意し、雪が降る前にタイヤ交換をしますが、滅多に雪が積もらない地域ではタイヤチェーンを用意しておくことをおすすめします。
タイヤチェーンは意外に安価に用意できる
スタッドレスタイヤの購入には多くの費用がかかります。
加えて自分で交換できない場合はカーショップやタイヤショップでの交換となり、その度に費用が発生します。滅多に雪が積もらない地域では、これらの費用をかけてスタッドレスタイヤに交換する人はそんなにいません。
しかしながら、数年に1回程度で起きる積雪時には大渋滞となり、自分の車もスリップして事故を起こす可能性が高くなります。そこで、タイヤチェーンの利用がおすすめです。
非金属性でジャッキアップ不要、誰でも装着できて、4本5,000円前後で購入できます。滅多に雪が積もらない地域では、雪は概ね午前中で溶けてしまうはずですから、緊急用のチェーンで十分です。
まとめ
今回は、冬の災害に備えておきたい防災グッズをご紹介してきました。冬の防災グッズも自宅避難と避難所への避難とでは、準備するグッズが異なってきますから、普段から災害の種類に応じた避難方法をしっかり検討しておくことが重要です。
避難所への避難は冬となれば防寒対策で荷物が多くなりがちですが、工夫次第で荷物を少なくしてスムーズな避難が可能となります。
冬に起きる災害への備えに、本記事をぜひ参考にしてください。
栗栖 成之
1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!