災コラム

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梅雨はさまざまなことに注意が必要!事故・食中毒・豪雨被害をまとめて解説

2023/05/19

今年のゴールデンウィークは、各地で4年ぶりの大盛況となったようですね。行楽やレジャーを思う存分楽しまれた方も多いことでしょう。

今は潮干狩りがシーズンを迎えていて、土日は浜辺が賑わっています。そして、もう少しすれば本格的な夏に突入しますが、その前に控えているのが「梅雨」です。

雨が降り続き、ジメジメとした梅雨が苦手な方も多いでしょう。気分的にスカッとしませんし、事故も多くなるのが梅雨の特徴でもあります。

梅雨時期は事故だけでなく、食中毒や災害にも気を付けないといけません。そこで今回は本格的な梅雨を前に、梅雨時期に注意したいさまざまな項目について解説します。

「梅雨」とは、どのような定義なのか改めて解説!

ところで「梅雨」って、実際にどうなると「梅雨」となるかご存じですか?

私達は毎年、天気予報にて梅雨入り、梅雨明けを知ることとなります。また、雨が降る日が続くと「そろそろ梅雨みたいだねぇ」といったりしますよね。

ここで「梅雨の定義」について改めて解説しておきましょう。

晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間

梅雨の定義を調べてみると、気象庁では「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる期間」と定義しています。

まぁ早い話、雨や曇りの日が多くなる期間を梅雨と呼んでいる、ということです。

そして、梅雨入りした日は曖昧であり「この日から梅雨になりましたよ~」って、梅雨入りした日を特定することはありません。

たとえば去年の梅雨入りについて確認してみると、次のような表現となっています。

気象庁による梅雨入りの表現は「・・ごろ」

去年の梅雨入りの時期を確認すると「沖縄が5月4日ごろ、奄美が同11日ごろ、関東甲信は6月6日ごろ」となっています。

つまり「5月○日ごろ」と、曖昧な言い方になっているのです。これは、梅雨入りした日を特定することができないためです。

仮に雨が続くと「これって梅雨じゃない?」と思っていたら、天気予報で梅雨入りしたことを知ることもあり得ます。

ですので、今年の梅雨入りの天気予報の表現を、ぜひ確認してみてくださいね。因みに、梅雨明けも「……ごろ」と、曖昧な表現になっています。

梅雨に雨が降るのは「梅雨前線」があるから!

出典:ウィキペディア 梅雨

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A2%85%E9%9B%A8

では次に、梅雨になるとどうして雨が降る日が多くなるのかというと、これは先の画像のとおり、梅雨前線が日本列島に停滞するからです。

梅雨前線とは、梅雨の時期に日本列島を覆う、雲や雨の帯のことを指します。具体的には、南西諸島や九州地方から始まり、北上して本州や東北地方まで広がる帯状の前線です。

梅雨前線ができる原因

どうして梅雨の時期にだけ、梅雨前線ができるのでしょう。梅雨前線ができる原因は、太平洋上にある暖かく湿った空気と、シベリアから北海道にかけて吹く冷たく乾燥した空気が、衝突することで発生します。

この衝突によって空気が上昇し、水蒸気が冷やされて雲ができます。梅雨前線は「空気のぶつかりあい」によってできる雲や雨の帯で、その地域では雨が長く降り続くことが多くなります。

ちなみにこの梅雨前線は、北海道までは到達しないため、北海道は梅雨がない地域となっているのです。

梅雨には全国的に交通事故が多くなる!車の運転には要注意

梅雨になると全国的に交通事故が多くなるので、注意が必要です。

梅雨時期には、雨や湿気によって路面が滑りやすくなり、視界も悪くなるため、交通事故が多くなる傾向があります。

そのため、首都高や各自治体にて梅雨の長雨による、交通事故への注意喚起がおこなわれています。

ここでは、その注意喚起の内容をご紹介しておきましょう。

首都高では雨天時に事故発生率が約4倍になる

首都高では、雨天時に発生した事故件数は総事故件数の18.6%を占めています。そして、天候別の1時間当たりの交通事故件数を計算すると、次のようになっています。

  • 雨天時以外:0.76(件数/時間)
  • 雨天時:2.81(件数/時間)

出典:首都高ドライバーズサイト

https://www.shutoko.jp/use/safety/driver/rain/

このように、雨天時には1時間当たりの事故件数が、雨天時以外の約4倍に上っていることが分かります。

その多くは、スリップによる事故となっています。スリップ事故に至るには、単にスピードの出し過ぎだけでなく、視界不良によって車間距離が詰まってしまい、慌ててハンドルを切ることで起きるケースも多いです。

梅雨時期に限っての注意喚起ではありませんが、雨の日が多くなる梅雨では特に警戒が必要です。

徳島県も梅雨の交通事故に注意喚起している

自治体でも梅雨の事故への注意喚起はおこなわれていて、徳島県交通安全協会では「交通安全協会だより」にて、“梅雨時は交通事故が多発する季節です!”と、注意を呼びかけています。

  • 1:雨による視界の悪化
  • 2:雨音による車内と車外の音の遮断
  • 3:雨(水たまり)による路面の悪化
  • 4:歩行者の行動の問題
  • 5:ドライバーの心理的な問題

徳島県交通安全協会では、これら5つが交通事故を多くしている要因として警告しています。詳しくは「交通安全協会だより」から、確認して役立てて頂けると幸いです。
出典:徳島県交通安全協会「交通安全協会だより」

梅雨はドライバーだけじゃない!自転車や歩行者も注意が必要

交通事故の原因は、自動車のドライバーの過失だけではありません。歩行者の注意不足によることが原因で、交通事故になっているケースも多いのです。

ここでは、歩行者や自転車が注意すべき点について解説しましょう。

道交法改正にて自転車の傘さし運転は交通違反となる

自転車の傘さし運転はよく見かけますが、危険な行為であるのは間違いありませんし、悪質な場合は赤切符の対象となります。万一事故を起こすと賠償責任を負うことになるかも知れません。

傘さし運転に対しての禁止事項はありませんが、道交法71条「運転者の遵守事項」の安全運転義務違反に該当します。自転車も軽車両ですから、しっかりと交通ルールを守らなければいけません。

さらに怖いのは、傘さし運転にて人身事故を起こした場合には、自転車保険を使用できないケースもあるということです。

そうなれば、保険が使えないので相手への補償を、すべて自腹でおこなうこととなります。大きなケガを追わせてしまうと、多額の賠償責任を追うことになりかねません。

これらのことから、梅雨時期に自転車を使用するなら、傘でなくレインコートやカッパを使用するようにしましょう。

小さな子どもには傘でなくレインコートがおすすめ

梅雨時期では小さなこどもは、傘でなくレインコートを着用させることをおすすめします。

小さな子どもは、傘を持っていても振り回したり、傘を持ったまま水たまりにダイブしたりします。また、傘によって視認性が悪いため、急に車道に飛び出すことも多いです。

レインコートだと両手が使えますし、傘よりは安全性が高まります。万が一のケガや事故を予防するためにも、レインコートの着用がおすすめです。

梅雨は家庭内も危険!食中毒に注意しよう

梅雨はみなさんご存じのとおりジメジメしており、多くの地域で梅雨後半は、7月に入ることとなります。

平年の梅雨明けを見ても、九州南部は7月15日ごろ、東北北部では7月28日ごろが梅雨明け時期になっています。

となれば、暑さも増してきてまさに高温多湿の状態になるでしょう。そんな環境下では、食中毒に注意しなければなりません。

過去10年の食中毒の件数

食中毒は原因によっては1年をとおして起きる症状ですが、梅雨時期には多湿になるため菌の繁殖力が強くなり、特に食中毒が起きやすいとされています。

国立感染症研究所の調査に基づく、過去10年間の梅雨時期における、食中毒発生状況を調査すると次の件数が分かりました。

年度 件数
2012年(平成24年) 408件
2013年(平成25年) 302件
2014年(平成26年) 390件
2015年(平成27年) 385件
2016年(平成28年) 252件
2017年(平成29年) 329件
2018年(平成30年) 347件
2019年(令和元年) 375件
2020年(令和2年) 328件

これらの結果から、梅雨時期には食中毒が多く発生する傾向があることが分かります。原因としては、高温多湿である梅雨時期の食品の保存や加熱調理の不足により、食中毒を引き起こす細菌やウイルスの繁殖が促進されることが挙げられます。

食中毒を引き起こさない予防策

先の調査結果から、梅雨時期には食中毒の発生に注意することはお分かり頂けたでしょう。そこでここでは、食中毒を引き起こさないための予防策についてお伝えします。

  • 食品の保存や加熱調理を十分に行う
  • 食品の消費期限や保存方法を確認する。
  • 手洗いや調理器具の清潔に注意する。
  • 野菜や果物を食べる際には、十分に洗って食べる。

梅雨は土砂災害や浸水被害に要注意!ハザードマップで確認が重要

梅雨は長雨となり、雨量が多くなる時期です。したがって、浸水被害や土砂災害も多く、毎年のように豪雨による災害が発生しています。

浸水被害はある程度予想できるとしても、土砂災害はいつ起きるか分かりませんし、浸水よりも命を落とす危険度は高くなります。

ここでは、ご存じの方も多いかも知れませんが、梅雨時期に起きる長雨や豪雨による被害と、対処方法を改めて確認しておきましょう。

過去の災害を確認してみよう!

まずは資料から、梅雨時期の過去の浸水被害と土砂災害を確認してみます。

【浸水被害&土砂災害】

時期と災害名 被害状況
2018年
平成30年7月豪雨
=西日本豪雨
死者224人、行方不明者8人。住家全壊6758棟、半壊1万878棟、一部破損3917棟、床上浸水8,567棟、床下浸水21913棟にのぼりました。
2019年
令和元年九州南部大雨
九州南部を中心に降り始めからの総雨量が1,000mmを超える記録的な大雨となり、土砂災害は212か所で発生し、このうち鹿児島県では150か所にのぼり、2人が死亡、5人が負傷しています。
2020年
令和2年7月豪雨
熊本県では球磨川の氾濫や土砂崩れが多発し、65人が死亡、2人が行方不明となり、死者は全国で84人に上った。全半壊6,125棟を含む16,599棟の住家被害が確認されています。

以上がニュースなどの資料から確認した、これまでに起きた梅雨時期の土砂災害や浸水被害の実績です。

これらの災害は、豪雨や土砂崩れ、河川の氾濫などによって引き起こされます。梅雨時期には、このような災害に備えて、適切な行動をとることが重要です。

ハザードマップで浸水状況を確認しておく

浸水被害は、大雨によって河川が氾濫し堤防が決壊するなどにて起きる災害です。この被害に対しては「洪水ハザードマップ」を確認することで、自宅や店舗などの浸水状況が分かります。

国土交通省によるハザードマップ作成の手引きでは、浸水ランクは次のように表示することと決められています。

浸水ランク
5.0m 以上 濃紫  色見本(C40 M75)
3.0m 以上 紫   色見本(C10 M35)
0.5~3.0m 未満 青   色見本(C40)
0.5m 未満 黄   色見本(C10 Y60)

※洪水ハザードマップ作成の手引きから抜粋
https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/saigai/tisiki/hazardmap/pdf/hm_kaitei.pdf

ハザードマップに記載される浸水深の着色は、手引きによってカラー番号が決まっています。なので、どの自治体も洪水ハザードマップの着色は同じになっているのです。

浸水ランクに幅がある理由

実はよく質問されることがあり、それは浸水ランクに幅があることです。

たとえば、0.5m~3.0mまでの青色部分の地域では「3mになるなら避難するけど、55cmなら避難しなくてもいい。もっと細かく表示できないのか!」とのご意見です。

いわれていることは正論であり、実際に以前の浸水深はもっと細分化されていました。しかし、現在国の方針としては、次の内容が軸になっています。

浸水深 状況
5.0m 建物2階が水没し、3階床面が浸水する可能性有り
3.0m 建物2階床面が浸水
0.5m 建物1階床上浸水

【氾濫時は、0.5mの水深で大人でも避難が困難】
※洪水ハザードマップ作成の手引きから抜粋
https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/saigai/tisiki/hazardmap/pdf/hm_kaitei.pdf

つまり、0.5~3.0mの範囲は2階に垂直避難するか、避難所に避難することが推奨され、3.0m 以上では2階も水没するので、避難所に避難することが望ましいとされています。

浸水ランクを細分化すると、リスク評価が低くなり安心して避難しない方が多くなります。その結果、予想以上の浸水が発生し命が危険な状況になることが多かったのです。

そのようなことから、先の浸水状況を把握した上で、自ら避難を検討するようになっています。

土砂災害の危険個所に指定されている地域は確実に避難すること!

※重ねるハザードマップから

今度は土砂災害についてですが、土砂災害ハザードマップに、危険個所として表示されている範囲に住んでいる方は、必ず避難しなければなりません。

土砂災害から命を守るには、早期に避難するしか手段がないのです。

土砂災害の種類は多いけど指定範囲は確実に危険

土砂災害には、大きく分けてがけ崩れ(急傾斜地の崩壊)、土石流、地滑りの3種類に分類されていますが、先の安佐南区の画像のとおり、ハザードマップにはさまざまな着色がされています。

土砂災害の種別ごとに着色されていますが「とにかく、着色されている範囲は危険なので、早期に避難が必要」と覚えておきましょう。

  • 急傾斜地の崩壊(赤・黄表示)
  • 土石流(赤・黄表示)
  • 地すべり(赤・黄表示)
  • 土石流危険渓流
  • 急傾斜地崩壊危険個所
  • 地すべり危険個所

このように、土砂災害の危険個所の表示は、全部で9種類にもおよびます。一般の方が理解するには難しすぎるので、とにかく色の付いている箇所は危険と覚えておくとよいですよ。

避難のタイミング

では、土砂災害の危険個所(着色されている範囲)にいる方が、避難するタイミングについて解説しておきます。

避難するタイミングはできれば、大雨注意報が発表された時点が理想です。次の段階に進み、大雨警報が発表されれば「土砂災害警戒情報」が発表されることとなります。

この時点では確実に避難しないといけませんし、既に土砂災害が起きているかも知れません。

早めに避難して何もなければそれでよしなので、警戒レベル3にあたる「高齢者等避難」が発表されれば、避難所は開設されます。この時点で避難しておけば、確実に命を守ることができますよ。

どこでも確認できる「重ねるハザードマップ」をご紹介!

ハザードマップポータルサイト

https://disaportal.gsi.go.jp/

各自治体では、各種ハザードマップを各戸配布しているはずですが、保管している方は少ないと思います。また、最近ではスマホで確認できるように、各自治体でもWEB版のハザードマップを公開しています。

ここでは、国土交通省が公開している「重ねるハザードマップ」をご紹介します。

日本全国をシームレスに確認できて「洪水・土砂・高潮・津波」など、すべてのハザードマップを確認できるので便利です。

ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/

上記のURLのページから「重ねるハザードマップ」⇒「地図を見る」をクリックすると表示されます。

わがまちハザードマップは、各自治体が作成しているWEB版のハザードマップを確認できます。

どちらのマップもぜひ使って、自宅の危険度を把握しておきましょう。

まとめ

今回はこれから迎える梅雨時期に注意したいことについて、さまざま解説してきました。

交通事故の発生率は高くなるので要注意ですし、自転車の傘さし運転は止めるべきですね。

また、事故だけでなく家庭内の食中毒も気をつけましょう。そして、後半にお伝えしている浸水被害と土砂災害については、特に要注意です。

命を守るにはハザードマップで危険度を把握して、早期の避難が必要です。

記事内で「重ねるハザードマップ」を紹介していますので、手元にハザードマップがない方はぜひ活用してください!

栗栖 成之

1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!