災コラム

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防災士がおすすめ|暖をとる防災グッズ!冬の災害に備えておこう

2023/10/20

10月に入っても昼間は暑い日がありますが、朝晩は寒さを感じる気温になりました。確実に季節は進んでいくもので、少しすれば冬将軍が到来することもある時期になりました。

そこで今回は寒さが本格的になる季節を迎える前に、暖をとる防災グッズを紹介しましょう。

災害に遭遇する際にはさまざまなケースが想定されるので、ケースごとに紹介していきますね。

暖がとれない災害とは?停電がもっとも深刻な状況になる

暗い室内の写真


まず、寒い季節に暖がとれない災害とは何かを考えてみましょう。

それは、地震や津波、大雨による浸水、土砂災害など、全ての災害に当てはまります。「ガス・電気・水道」が使えない状況になると、暖をとることができないからです。

停電すると暖がとれない深刻な状況に陥る!

暖がとれない深刻な状況に陥るのは、あらゆる災害で停電が起きるケースです。現代社会では電気がなければ、快適な生活はできません。

  • エアコン
  • ヒーター
  • ガス給湯器
  • ガスファンヒーター

このように、たとえ熱源がガスであっても機器を動かすには電源が必要なので、停電するとガス機器も使用不能に陥ります。

従って、ガスファンヒーターやガス給湯器も使えなくなり、部屋を暖めたりお風呂を沸かしたりすることができません。

運転中の災害では車内に取り残される

暖がとれない状況は、建物内だけに留まりません。車を運転中に災害が起きると、土砂などで道路が塞がれたり事故が発生して、立ち往生するケースも。

さらに、大雪で立ち往生するケースは毎年起きています。

寒い冬に車が立ち往生すると、燃料がある間は車内のヒーターで暖をとれますが、燃料が乏しくなるとそうも行きません。燃料節約のために、エンジンを切って寒さに耐える状況になります。

外出中の災害で帰宅難民となる

会社や学校に通っている際に災害が起きると、停電や土砂災害にて電車が運休し帰宅難民となります。

バスやタクシーも道路が無事なら利用可能ですが、災害時に渋滞が発生し何時間も外で待機する状況も珍しくありません。会社に戻ったり避難所に避難したりできなければ、寒空の下で途方に暮れるでしょう。

ケース別に解説!寒い季節の外出時におすすめな防災グッズ

雪だるまの写真

ここまでで、暖がとれない災害や状況についてお伝えしました。ここからは寒い時期に備えておくと便利な、暖がとれる防災グッズをケース別に紹介します。

特に寒い季節の外出時に用意しておくと、万が一の災害でも寒さをやわらげることができますよ。

使い捨てカイロ

使い捨てカイロの写真

使い捨てカイロはバッグの中に入れていても、あまりかさばりません。コートを使用する時期なら、コートのポケットに入れておくのも良いですね。

使い捨てカイロは意外に使い道が広く、体の部位をあたためるだけでなく、ペットボトルに数枚のカイロを貼っておけばお湯を作ることも可能です。ただし、商品によってはペットボトルを変形させるケースもあるので、熱すぎるカイロは注意が必要です。

さらに、体の部位に貼る際には低温火傷をしないよう、次の項目に注意して利用しましょう。


【使い捨てカイロのメリット】

  • 首や背中、腰、お腹に貼るとあたため効果がアップする
  • 足先専用のカイロも用意しておくと便利


【注意点】

  • 肌に直接貼らない
  • 同一個所に長時間カイロを使わない
  • カイロの上からベルトなどで圧迫しない

ネックウォーマーとマスク

ネックウォーマーを付けている人の写真


寒い時期の服装では、手袋やマフラーは必需品ですよね。
これらにプラスして、マスクとネックウォーマーをバッグに入れておくと寒さ対策に有効です。

コロナ禍を経験し日常生活に戻りつつありますが、マスクをしている方は多いです。マスクなしで過ごす方もいますが、寒さ対策にもマスクは有効です。

そして、ネックウォーマーがあれば首から耳元まで覆うことができ、かなりの寒さでも大丈夫です。ネックウォーマーの上からマフラーをすれば、首元から顔半分を温めることが可能です。

薄手の靴下

靴下の写真

雪が積もっている状況で帰宅難民になると、足先も冷えてしまい痛みを感じるケースもあるでしょう。そうなると歩くのも辛くなるため、先に紹介した「足先用の使い捨てカイロ」を用意しておくとよいです。

それに加えて、薄手の靴下もバッグに入れておくことをおすすめします。ストッキングならストッキングの上に、靴下なら靴下の上に重ね履きすると、空気の層ができるため体温を保ち冷たさを緩和できます。

厚手の靴下を重ね履きする方が高い保温効果がありますが、外出先だとパンプスや革靴、スニーカーを履けなくなることもあるので薄手の靴下を利用すると良いでしょう。

車を運転中のケースにおすすめな防災グッズ

雪に埋もれた車の写真

冬のドライブ中に災害に逢ってしまい立ち往生すると、ガソリンなど燃料の問題があります。アイドリング状態でも燃料は減っていくので、長時間のアイドリングはできません。

しかし、雪が積もっている場合は、エンジンを切るとすぐに車内が冷え込んでしまいます。

先の「使い捨てカイロ・ネックウォーマー・薄手の靴下」は、車にも常備しておくとよいですよ。ここではそれ以外の、ドライブ中に暖をとれる防災グッズを紹介します。

エマージェンシーシート

エマージェンシーシートを使う女性のイラスト

エマージェンシーシートとは、災害時などに体温を保つために使用する防寒シートです。災害時だけでなく、キャンプなどアウトドアで広く使われているため、備えている方は多いかも知れません。

最近では高価な商品だけではなく100円ショップでも販売されています。コスパに優れているので、複数枚を車内に常備することをおすすめします。

体全体を覆うことができますし、二重にして下半身を重点にあたためることも可能です。

ブランケット

ブランケットを使用する女性のイラスト

筆者の車には、1年中複数枚のブランケットが積んであります。薄手でひざ掛けの大きさと、厚手で体を包める大きさの2種類は必ず載せています。

夏でも喫茶店など冷房がガンガンの店舗もあり、席によってはクーラーの風がまともに当たることも。そんな時には、薄手のブランケットを車から持ってきて利用します。

冬は暖房が強すぎると気分が悪くなる場合があるので、厚手のブランケットで腰から下を覆うように使います。

複数枚のブランケットを車内に載せておけば、立ち往生した際にも有効です。先のエマージェンシーシートと一緒に使えば、体温を逃がすことなく暖房なしでも暖かく過ごせるでしょう。

ただし、雪が積もる状況での立ち往生では、車のマフラーに雪が詰まらないよう注意が必要です。ガソリン車の場合、一酸化炭素中毒になる危険があるためです。暖をとるグッズだけでなく、雪かきができる簡易なスコップや軍手、皮手袋などを積んでおくこともお忘れなく。

会社で待機するケースに有効な防災グッズ

オフィスの写真

会社で仕事中に災害が起きるケースや、帰宅途中で危険を感じて会社に戻るケースもあります。しかし、停電すれば会社内でもエアコンが使えず、暖をとるには個人単位での工夫が必要です。

万が一のこのような事態に備えて、会社に普段から備えておきたい防災グッズを紹介します。ここまでで紹介している次の防災グッズは、ロッカーや引き出し、机の下に常備しておきましょう。

  • 使い捨てカイロ(体用・足先用)
  • マスク
  • ネックウォーマー
  • 薄手の靴下
  • エマージェンシーシート
  • ブランケット

厚手の靴下とスリッパ

厚手の靴下をはいた人の写真

薄手の靴下の効果は既にお伝えしたとおりですが、会社内に留まるなら厚手の靴下を重ね履きする方がより暖かいです。

ただし、厚手の靴下を重ね履きすると移動する際には、パンプスや革靴、スニーカーが窮屈になり履けません。そのため、少し大きめのスリッパを一緒に用意しておけば、問題なく歩けます。

レッグウォーマー

レッグウォーマーを使用している人の写真

足首から足先までは、先の厚手の靴下の重ね履きで対応できます。次に、ふくらはぎ部分を温めるためにレッグウォーマーが役立ちます。

特に女性は冷え性の方が多いので、下半身への寒さ対策は重要です。

ジャージなどのパンツ

ジャージを着用している人のイメージ

会社内で待機する際には、ずっと椅子に座っているのはよくありません。エコノミー症候群になりかねませんし、疲れてしまいます。

そこで、ジャージなど汚れてもよいパンツ類を用意しておくと便利です。スカートやスラックスのままでは、床や廊下に座りにくいと思います。

ジャージがあれば床や廊下に足を延ばして座ることが可能です。保管スペースに余裕があるなら、ジャージの上下を備えておくとよいでしょう。

このときに、ブランケットを敷いてその上に座り、エマージェンシーシートで体を覆うと暖かく楽に過ごせます。

コンパクトな寝袋

寝袋の写真

災害時に会社内で待機するなら、日をまたぐ可能性も大いにあります。先に紹介したジャージスタイルで「靴下の重ね履き+ブランケット+エマージェンシーシート」で、床に寝ることは可能です。

もしも会社内で夜を過ごすなら、もっと暖かく快適に眠りたいですよね。そのような事態を想定して、コンパクトな寝袋を会社に用意しておけば効果は絶大です。

寝袋は高額なキャンプ用品としてイメージされがちですが、ここで紹介する寝袋は、税込3,850円とコスパに優れています。この値段なら、イザという時の緊急用に購入しても問題ないでしょう。

収納サイズも直径約23cm×高さ約39cmとコンパクトなので、ロッカーや机の下に保管できます。

封筒型寝袋はコチラから購入可能です!

自宅避難時に暖をとる際の注意点

「危険」のイメージ画像

自宅にいる時に災害が発生して停電が起こると、暖房が使えず寒いなかで過ごすケースが多くなります。しかし、自宅なら毛布や布団、ダウンジャケットなど、あらゆる物で体を温めることが可能です。

ところが手段によって注意点が存在するので、災害時に自宅で暖をとる際の注意点を解説します。

まずは自宅にある日常品で暖をとる

自宅なら冬用のスパッツやセーター、上着など、あらゆる衣類で寒さを防ぐことが可能。動かなくてよいなら、布団に包まっていれば大丈夫です。

まずは、自宅にある衣類や布団類で暖をとるようにしましょう。

敢えて石油ストーブは保管しない

万一の際に備えて石油ストーブを保管する方もいるようですが、毎シーズン使わない石油ストーブを使用するのはよくありません。

石油ストーブは灯油を必要としますが、古い灯油を使うと災害のリスクが高くなります。

  • 灯油が酸化して不完全燃焼を起こす
  • ストーブが異常燃焼を起こす
  • 刺激臭が発生する

石油ストーブや石油ファンヒーターを使用するなら、毎シーズン新しい灯油を使用しなければなりません。従って、敢えて災害用に灯油や石油ストーブ、石油ファンヒーターを備えるのは止めましょう。

カセットコンロを利用するなら換気をしっかり行う

防災士もおすすめするカセットコンロは、災害時の備蓄品として必須です。カセットコンロがあればお湯を沸かしたり、暖かいスープを作ったりと身体の中から温めることが可能です。

ただし、室内で利用する際には、換気をしっかり行う必要があります。

一般的なガスコンロだと使用時に換気扇を付けますが、カセットコンロ使用時には換気扇を付けることを忘れがちです。一酸化炭素中毒の可能性もあるので、換気に十分気を配りましょう。

カセットコンロより大きな調理器具は使用しない

カセットコンロを利用する際には、コンロより小さな鍋などの調理器具を使用します。

コンロよりも大きな調理器具を使用すると、セットしているガスボンベが熱により爆発して、命に関わるケースもあります。毎年のようにカセットコンロの爆発によって、負傷者が出ているので要注意です。

まとめ

今回は本格的な冬が到来する前に、万が一災害が起きて停電などにより、暖がとれなくなった際に有効な防災グッズを紹介しました。

記事内で紹介しているグッズを揃えておけば、イザという時に寒さを気にしなくて済みます。どれもちょっとした工夫で暖をとれるので、ぜひ参考に用意しておいてくださいね。

栗栖 成之

1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!