災コラム

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今年の春は全国的に気温が高く暑い予報!急激な気温変化に注意しよう

2024/04/12

2024年桜の開花は平年よりも遅い状況となっており、原因は3月の気温が低かったからです。本来なら本稿を執筆している4月2日時点では、西日本の多くの地域で七分咲き~ほぼ満開となり、各地がお花見で賑わっていたでしょう。

しかし、気象庁の長期予報を見ると、今後は平年よりも高い気温が続く予想です。そこで今回は春に起きる災害の種類と対策、急激な温度変化にて起こる体調不良などについてお伝えします。

気象庁の1か月予報では気温は全国的に平年よりも高い

3/30~4/29までの予想気温

出典:ウェザーニュース



これは気象庁が発表した1か月予報を、ウェザーニュースが分かりやすく公開した図です。見ればお分かりのように、4月29日までは全国的に平年よりも気温は高い予想です。

遅れていた桜の見ごろも、今年はつぼみから満開になるまでの期間が短くなる確率が高くなっています。

降水量は平年並みか平年よりも多い予想

出典:ウェザーニュース



一方で降水量は全国的には平年並み、もしくは平年よりも多い予想で、西日本では季節外れの大雨に注意が必要とされています。

平年よりも湿った空気が多く流れ込むため雨量が多くなる確率が高く、前線が停滞するような気圧配置になったら大雨に注意してください。

春によく起きる災害は主に5種類!花粉症も災害といえる

杉の写真

春によく起きる災害は以下の5種類ありますが、5番目の花粉症も現代では災害といえるでしょう。

  • ①融雪洪水
  • ②雪崩
  • ③春の嵐
  • ④黄砂
  • ⑤花粉症

上記の春の災害を、順番に詳しく見ていきましょう。

① 融雪洪水 4月がピーク

しなり側と利根川の月別の水量のグラフ

出典:国土交通省北陸地方整備局



融雪洪水とは雪解け水により河川の水量が増えることで、積雪が多い雪国独特の災害です。特に信濃川は周辺に豪雪地帯が多いため、毎年のように増水が起こります。

水量のピークは4月の毎秒約1,000トンですが、5月も毎秒約800トンと2番目に多い水量となっています。

4月に暑い日が続くと平年よりも水量が多くなる

4月の気温が平均よりも高く暑い日が続くと、雪解けのスピードが早くなり平年よりも短い期間で多くの雪解け水が発生します。降水量との兼ね合いもありますが、平年なら5月に解けるはずの雪が4月中に解ける可能性もあるため、信濃川流域では特に注意が必要です。

② 雪崩 3~5月の春山は要注意

出典:北海道 中標津町



春山登山では積雪が残っている箇所で、雪崩に注意しないといけません。これは北海道の東部に位置する「中標津町(なかしべつちょう)」が公開しているパンフレットで、3月~5月は雪崩に注意と掲載されています。

また、日本雪崩捜索救助協議会が公表している1991年~2020年までの30年間で、179件の雪崩死亡事故が発生し多くの死者が出てしまっています。別機関の調査結果でも、月別で比較すると雪崩による死亡事故は2月が最も多いですが、4月・5月でも死亡事故は起きているので要注意です。

北海道も平年より気温が高いので雪崩が起きやすい

4月は北海道も平年より気温が高い予想であるため、雪崩が起きやすい状況といえます。

春山登山では残雪を楽しみにしている方も多いため、今年は平年よりも雪崩への強い警戒が必要でしょう。初心者だけで出かけるのでなく、上級者の同伴が必須といえます。

③ 春の嵐(メイストーム) 台風並みの暴風

3月~5月にかけて「メイストーム」と呼ばれる春の嵐に注意が必要です。メイストームとは発達した低気圧によって、台風並みの暴風や猛吹雪が発生する現象です。

春の嵐(メイストーム)が起きる要因は日本の北から入り込む冷たい空気と、南からの暖かい空気がぶつかり合って上昇気流が発生し、温帯低気圧が急速に発達することです。

この低気圧は中心から離れた地域でも強い風が吹く特徴があるため、被害が広範囲にわたってしまいます。

春の嵐の事例を紹介|2012年(平成24年)4月3日~5日

出典:政府広報オンライン



2012年(平成24年)4月2日21時に黄海にあった低気圧が急速に発達しながら日本海へ進み、4月3日21時には中心気圧が964ヘクトパスカルと台風並みに発達し、各地で以下のような暴風を観測しています。

  • 山形県酒田市飛島では最大瞬間風速 51.1メートル/秒
  • 和歌山県友ヶ島で最大瞬間風速 41.9メートル/秒

この春の嵐によって日本各地でトラックなどの横転事故、住宅の破損や停電、そして交通機関のマヒが発生。さらに、転倒や屋根からの転落、倒木の直撃などにより多数の死傷者も出ています。

④ 黄砂 アレルギー症状や呼吸器疾患の悪化

出典:環境省 黄砂とその健康影響について



黄砂は昔から春先に起きる気象現象ですが、近年では被害が甚大化しており深刻な環境問題や健康被害として認識されています。

黄砂が起きる原因は、ユーラシア大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などで発生する砂嵐によって、数千メートルの上空に巻き上げられた土壌が、偏西風に乗って中国・韓国・日本に飛来することです。

黄砂は日本へ到達するまでに、空気中に浮遊する花粉や汚染物質など、さまざまな物質を付着させるので健康被害を引き起こします。

  • 目のかゆみや結膜炎
  • 鼻水やくしゃみなどのアレルギー症状
  • 気管支ぜんそくや肺炎など呼吸器疾患の悪化

環境省では黄砂によって、このような健康被害が起きると注意喚起を行っています。黄砂への健康被害への対策は、原則として黄砂を体内に取り入れないことです。

  • マスクの着用
  • 室内では空気清浄機の利用
  • 湿度を保つために加湿器の使用

特に外出中のマスクは必須であり、外気と一緒に黄砂を体内に取り込まない工夫が大切です。

⑤ 花粉症 約3,000万人がり患するアレルギー疾患

出典:環境省 花粉症環境保健マニュアル2022



花粉症は現代では災害といってよいほど患者数が増加し、全国で約3,000万人がり患している日本で最も多いアレルギー疾患です。

花粉が体内に入ってもすぐに花粉症になる訳ではなく、アレルギー素因のある方は体内に侵入した花粉に対抗するために抗体を作り出します。抗体が十分な量に達すると過剰に反応して、目のかゆみや鼻水など花粉症の症状が現れるのです。

通常なら抗体が過剰に反応する量に達するまでは、数年から数十年必要と言われています。しかし、近年では花粉の飛散量が多いため、早く抗体量が多くなり発症するまでの期間が短くなっています。通常であれば数十年かけて抗体が十分な量に達するはずが数年で達してしまうので、小さな子どもまでも花粉症にかかってしまいます。

春に気温が暑くなると起きる健康被害について!

ここからは平年よりも春の気温が暑いと起きる、健康被害について確認しましょう。3月末から4月上旬にかけて、1日の最低気温と最高気温の差が10~15℃になる日も多いです。

4月もどこまでかは分かりませんが、寒暖差が激しい日が続くかも知れません。また、昼間の気温が春なのに25℃を上回る夏日になることも。そのため、体調管理には十分に注意しないといけませんが、高齢の方には周囲が特に気を使う必要があるでしょう。

寒暖差による気象病に注意

気温差が7℃以上になると起きやすいのが寒暖差疲労で、気象病の一種です。体温を調整する自律神経が過剰に働くことで「全身倦怠感・冷え症・頭痛・首こり・肩こり・胃腸障害・イライラ・不安・アレルギー(鼻炎症状)」など、さまざまな症状を引き起こします。

気象病は他人には理解しがたい病気であるのが厄介で「気象病なので休みます」とは職場には言いにくいですよね。また、1日だけではなかなか治まりません。そのため、寒暖差によって体調不良が起きたなら次の方法を試してみましょう。

寒暖差疲労を改善する対策

  • ゆっくりと深い深呼吸を行う
  • 冷たい飲み物や体を冷やす食材を控えて、体を中から温める
  • 入浴は38~40℃位のお湯に10~15分程度肩までしっかりとつかり体を外から温める
  • 軽い筋力トレーニングや全身のストレッチ、ウォーキングなどで身体を動かす
  • ヨーグルトや納豆などの発酵食品を1日1回食べて腸内環境を整える

このような対策が寒暖差疲労には有効とされていますので、ぜひ試してください。

寒暖差が激しいと風邪をひきやすくなる

寒暖差が激しいと寒暖差疲労などの気象病だけでなく、自律神経の乱れによって風邪をひきやすい状態に陥ります。

寒暖差が激しいと身体へのストレスになり、自律神経が乱れて体温調整が追いつかず身体が冷え込み、風邪をひく方が増えてきます。できるだけ、服装で体温を調整して身体を冷やさない工夫が大切です。

昼間は熱中症への対策も必要

昼間の最高気温が25℃以上の夏日になれば、熱中症対策が必要で直射日光を避けてこまめな水分補給が重要です。4月だから熱中症には早いと思ってしまいますが、平均的な気温でも4月後半から熱中症による救急搬送が発生しています。

次のグラフは総務省が公開している報道資料で、令和4年における熱中症による救急搬送状況です。グラフを見ればお分かりのように、4月25日~5月1日までの1週間で308人の方が熱中症にて救急搬送されています。

出典:総務省 報道資料



今から暑さに慣れる体を作る必要がある

今年は平年よりも気温が高いことが予想されているため、現時点から暑さに慣れる身体づくりが重要です。通常であれば5月から順次慣らしていくのですが、今年はゆっくりしている時間はなさそうです。

  • ウォーキングやジョギングで汗をかく
  • 筋トレを30分ほど行うのもOK
  • お風呂は40℃程度のお湯につかって暑さに慣れさせる
  • 寒暖差が激しい日は服装に注意する
  • 仕事中でもお互いの体調確認や水分補給の声かけを行う
  • 水だけでなくスポーツドリンクなど少量の塩分補給も必要

高齢の方には家族や周囲の注意が有効

高齢の方は自律神経の働きが低下し多少の寒暖差にも適用できず、食欲不振や発熱、倦怠感など、さまざまな症状が現れます。

そのため高齢の方がいる家庭では、家族が「今日は暑くなるから、この服を着るといいよ」「朝は冷えるようだから、冬物のパジャマを着てね」など、注意を促すことが有効です。

まとめ

今回は春に起きる災害と、気温が高くなり暑い日が続くと起きる健康被害についてお伝えしてきました。

春に起きる災害の内、融雪洪水や雪崩などは積雪の多い地域特有の災害ですが、登山や観光で訪れる方も多いため知っておくとよいでしょう。

今年は4月中の気温は全国的に高い予想で、寒暖差が激しくなる日が多いかも知れません。寒暖差が激しいと寒暖差疲労と呼ばれる、気象病にかかる方も多くなります。

記事内では「寒暖差疲労を改善する対策」も紹介していますのでぜひ参考にしてください。

栗栖 成之

1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!