災コラム

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冬到来!立ち往生などしないための雪対策のエトセトラ

2022/12/16

今年も冬がやってきました。冬といえば雪をイメージしますが、雪に慣れていないと意外に大変な目に遭ってしまいます。

雪国での生活に慣れている方は問題ありませんが、今年初めてスキーやスノーボードデビューをする方や、雪の多い地域への観光を予定している方など、雪に慣れていない場合はそれなりの準備が必要です。

特に車で出かけるなら、立ち往生をしない対策も重要となってきます。そこで今回は、雪の多い地域(雪国)へ出かける際の、対処法を色々と解説しますのでぜひ参考にしてください。

車で出かける際にはスタッドレスタイヤに交換する

写真_雪が積もった車

スキー場などへ車で出かける際には、タイヤを必ずスタッドレスタイヤに交換しないといけません。

また、少しでも雪が降る可能性のある地域へも、スタッドレスタイヤにしておくべきで、ここでは、スタッドレスタイヤの注意点について解説します。

タイヤは4本とも交換すること

車に少し詳しい方なら、FF(前輪駆動)とFR(後輪駆動)の違いを把握しています。だからこそ、FF車なら前輪の2本のみ、FR車なら後輪の2本のみ交換すれば大丈夫と思いがちですが、それは誤りとなります。

スタッドレスタイヤに交換するなら、FF車とFR車の区別なく4本とも交換しなくてはいけません。「駆動するタイヤだけでいいのでは?」と思われるかも知れませんが、そもそも冬用のスタッドレスタイヤと、通常のタイヤを一緒に使うのは危険なのです。

スタッドレスタイヤに交換するなら、FF車とFR車の区別なく4本とも交換しなくてはいけません。「駆動するタイヤだけでいいのでは?」と思われるかも知れませんが、そもそも冬用のスタッドレスタイヤと、通常のタイヤを一緒に使うのは危険なのです。

車をコントロールできなくなるのでとても危険

たとえば、FR車(前輪駆動)の場合だと前輪2本が駆動して動くので、後輪2本は合わせて回っているだけです。だから、前輪2本のみをスタッドレスに交換すればいいとの考えなのですが、ブレーキはタイヤ4本ともにかかります。

すると、前輪はスタッドレスタイヤなので早く停止しますが、後輪は通常タイヤなので滑ってしまい、車体が流されるようになります。

スピードが出ていなくても後輪の方が制動距離は長くなるので、車体後部が横滑りします。このように、4本ともスタッドレスタイヤに交換しないと、逆に危険な状況を作ってしまうのです。

チェーンは駆動輪2本でいいのにスタッドレスはダメな理由

スタッドレスタイヤは駆動輪の2本だけでいいとの考えは、チェーンの装着に関係しているようです。

実際にチェーンの装着は、トヨタやホンダなどの車メーカーでも「チェーンは駆動輪のみに装着する」となっています。

基本的に「夏タイヤ+チェーン」が、チェーン装着の目的なのでスタッドレスとは状況が異なっています。また、チェーン装着時は「金属製:30km/h以下、ウレタン&ゴム製:50km/h以下」でしか走行できません。

ゆっくり走るならチェーン×駆動輪2本でもOK

滅多に雪国にはいかないので、できるだけ費用を抑えたい方には、ゆっくり大人しく走るとの条件付きでよいなら、チェーンを駆動輪2本に付ければ大丈夫です。

ただし、雪のない道路では外す必要があるので、脱着の手間はかなり必要です。また、装着方法も普段から確認しておかないと、いざ装着となった際には焦って上手く装着できないことがあります。

さらに、長いトンネルを走行する際にはトンネル手前でチェーンを外し、トンネルを出たら再度チェーンを装着しなければならない煩わしさもあります。チェーン装着を選ぶなら、走行する道路をよく検討しましょう。

チェーンはめったに雪が降らない地域で、数年に一度の積雪に対応するには便利ですが、雪国へ出かけるならスタッドレスタイヤの方が便利です。

スピードには注意!スリップやスタックすると立ち往生してしまう


スタッドレスタイヤに交換したからと、いつもと同じように運転するのはよくありません。スピードはいつもよりも抑えめにして、急ハンドルもNGです。

さらに、上り坂でアクセルを急に開けると、スタックしてしまうこともあります。ここではスリップやスタックによる、立ち往生にならないための注意点を解説しましょう。

急ハンドルやスピードの出し過ぎはスリップの原因

スタッドレスといえど、雪道で絶対にスリップしない訳ではありません。特に雪が踏み固められた道路や橋の上では、アイスバーン状態になっているのでスリップしやすくなっています。

そんなアイスバーン上でスピードを出している状態でブレーキを踏めば、ほぼ確実にスリップしてしまい、最悪のケースでは車が回転してしまいます。また、急ハンドルもスリップの原因となるため、雪道では大人しく走行するのがベストな運転方法です。

エンジンブレーキを使う!普段から練習して慣れておこう

雪道で安全な走行をするなら、フットブレーキだけでなくエンジンブレーキを上手く使うことが大切です。ミッション車のドライバーならほぼ問題なくエンジンブレーキを使うはずですが、オートマ車のドライバーは、ドライブレンジ(Dポジション)しか使っていない方がほとんどです。

オートマ車でも「D⇒3⇒2⇒1(L)」のギアを選べるようになっています。1(L)まで落とすことはほぼありませんが、オートマ車でも次のようにエンジンブレーキを使うことが可能です

・D⇒3

・3⇒2

ギアを落とすたびに回転数が上りエンジンブレーキがかかりますが、その際に大きなエンジン音がするので、驚いて元に戻すかたも少なくありません。

ですが、エンジン音が大きくなるのはエンジンブレーキが効いている証拠なので、驚かなくても大丈夫です。エンジンブレーキは雪道だけでなく普段の運転にも役立つので、練習して慣れておきましょう。

上り坂でアクセルを急に踏むとスタックしてしまう

アンダーパスなどの上り坂でアクセルを急に踏むと、タイヤが空回りしてスタックしてしまいます。一度スタックするとスタッドレスタイヤでも抜け出せなくなることが多いので、上り坂ではアクセルはゆっくり踏み込むようにします。

上り坂でのスタック時には、脱出するためにアクセルを踏み過ぎて、道路脇の雪の塊に乗り上げてしまうケースも少なくありません。そうなると立ち往生してしまい、自力では脱出困難に陥ってしまいます。

雪道の上り坂では、急発進やアクセルの踏み過ぎには要注意です。

積雪のある地域へはスノーブラシが必需品となる

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雪国へ車で出かけるなら、スノーブラシは必需品ですから忘れずに持っていきましょう。スノーブラシとは車に積もった雪を取り除く目的で使うアイテムで、凍ったフロントガラスの氷を削ることも可能です

スノーブラシがないと除雪できない

雪国では当たり前のアイテムですが、雪に滅多に遭遇しない方にとっては、はじめて聞く名前かも知れません。

雪が降っている地域では駐車をする際には、ワイパーを立てておきます。これは、ワイパーがフロントガラスに張り付いたまま、凍結して動かせなくなるからです。また、凍ったままのワイパーを動かそうとするとワイパーブレードのゴムが破損したり、モーターに負荷がかかり故障したりするリスクが高まります。

さて、雪国で車を駐車しておく際にはワイパーを立てることが分かったところで、本題のスノーブラシの必要性についてです。


雪国で駐車していると、写真のように車に雪が積もってしまうので、運転するには除雪する必要があります。

その時に使うのがスノーブラシで、車を傷つけることなく除雪できる頼もしいアイテムです。スノーブラシがないと除雪が難しくなるばかりか、大切な車に傷をつけることになるかも知れません。

雪国に車で出かける際には、忘れてはならないアイテムとなります。

予期せぬ立ち往生のために防寒アイテムを装備しておく

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自分の車がスリップやスタックして立ち往生を引き起こすこともありますが、そうではなく別の原因で立ち往生に遭遇してしまうケースもあります。

大雪が降った際に、高速道路での立ち往生はよく見られます。このようなケースも考慮して、車には防寒アイテムを装備しておくことをおすすめします。

長時間の立ち往生に対応する冬用の寝袋

高速道路上で立ち往生になってしまうと、心配なのが燃料です。アイドリングでも燃料は確実に減っていきますから、いつまでもアイドリング状態でいられないケースもあります。

もしも、燃料が尽きてしまいエンジンをかけることができなくなれば、凍える状況に陥ります。そうならないためにも、燃料を節約しながら暖の取れる冬用の寝袋を装備しておくことをおすすめします。

使い捨てカイロも多めに準備

使い捨てカイロも多めに準備しておけば、エンジンを切っても寝袋や毛布と一緒に暖を取ることが可能です

首の後ろや背中、お腹にカイロを貼ると、効果的に身体を暖めることができます。雪国で過ごすならカイロはいくらあっても問題ないので、多めに準備しておくとよいです。

雪道を安全に歩くための4つの対策


ここまでは雪国への車の対策を解説してきましたが、ここからは雪道を安全に歩くための対策を4つ解説します。いずれも雪に慣れていない方には「へぇ~」的な対策となるはずなので、ぜひ参考にしてください。

その1:転倒しない歩き方を知っておこう

雪道に慣れていない方は何といっても、転倒しない歩き方を知っておくことが重要です。

滅多に雪が積もらない地域では、道に雪が積もってしまうと転倒する方が多くなります。これは、雪道の歩き方を知らないからで、歩き方を知っていれば転倒するリスクはかなり軽減されます。

  • 小さな歩幅で歩く
  • 靴の裏側全体を路面につけて歩く
  • 余裕を持ってゆっくり歩く
  • マンホールやグレーチング(鋼材を格子状に溶接したもの)に注意する

これだけマスターすれば、転倒の確率は激減します。最も大切なのは「余裕を持ってゆっくり歩く」で、小さな歩幅で靴の裏面全体で歩いていても、急ぎ足になると滑って転倒してしまいます。従って雪道を歩く際には、余裕を持って歩くことが最も重要です。

また、マンホールは凍っていると滑りやすくなっているので要注意です。さらに道路脇にある側溝のフタがグレーチングの場合も、滑りやすくなっています。道路を横断しているグレーチングもあるので、できればこの上に乗らないことが安全のポイントになります。

その2:軒先から離れて歩く

雪道を歩く際には、家の軒先から離れて歩くようにします。その理由は、屋根に積もった雪の塊が軒先から滑り落ちてきて、下敷きになる事故が毎年のように起きているからです。

事故から身を守るために軒先近くを歩くのではなく、軒先から離れて歩くことが重要です。とはいっても、道路側により過ぎると今度は交通事故のリスクが高まります。

現場の状況を見て、軒先の真下付近に近づかない工夫をしましょう。また、雪の塊だけでなく「つらら」が落下すると非常に危険なので、軒下には近づかないのがポイントです。

その3:両手を使えるようにしておく

雪道で転びそうになった時に、バランスをとるのが両手です。もしも転倒した際に、被害を最小限に留めるのも両手での受け身になります。

両手をポケットに入れて歩いている方や、荷物を持って歩いている方は要注意です。手袋をして両手をフリーにしたり、手提げかばんをリュックにしたりして、両手をフリーにして歩くようにすると安全です。

その4:冬靴を履いて歩く

雪道を歩くのにハイヒールを選ぶ方はほとんどいないはずですが、スニーカーや革靴でも問題ないと思う方は多いでしょう。

ところが、雪道を歩くなら「冬靴」を履いて歩くのがベストになります。冬靴とは北海道など雪国で販売されている靴のことで、滑らない・濡れない・暖かい効果を持っています。

雪の降らない地域ではほぼ販売されていないので、目的地に着いてから購入するかネットショップで購入しておくとよいでしょう。

まとめ

今回は雪に慣れていない方が雪国に出かける際に、立ち往生などしないための対処法を解説してきました。

車で出かけるなら、タイヤは4本ともスタッドレスタイヤに交換しておきましょう。チェーンなら駆動輪2本のみで済みますが、脱着に手間がかかるので走行する道路状況によっては面倒になります。

また、スノーブラシは必須アイテムとなりますし、万一の立ち往生を予測して、冬用の寝袋や使い捨てカイロなどを装備しておくとよいでしょう。

雪道を安全に転倒しないように歩くポイントも、記事内で紹介しているのでぜひ参考にしてください。

いずれにしても雪に慣れていない方は、雪への対策を万全にして出かけましょう。

栗栖 成之

1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!