防災コラム
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台風の季節到来!早めの備えで安心できる生活にしよう
2022/07/29
今年もそろそろ、台風の季節が到来します。災害の中でも地震と違い、台風は予測できる災害ですから、2~3日前から台風への備えを行なうことが可能です。
ですが、「台風前に、仕事を片付けておかねば!」と、忙しくなり備えができない場合もありますよね。そこで今回は、台風シーズンもやってくるので、台風への備え方について解説します。
目次
日本への台風の上陸は8~9月が最も多い
台風が発生して日本に近づくようになるのが毎年7月で、上陸が多くなるのは8~9月にかけてとなります。なので、台風シーズンと呼べるのは7~9月の3か月といってよいですね。
気象庁が公表している「本土および沖縄・奄美への台風接近数の平年値」を見ても、7月からが1.0を超えるので、間違いないでしょう。
出典:気象庁 台風の平年値
https://item.rakuten.co.jp/gorilla55/tent-hayabusa/
台風への備えは「食料・水・灯」を用意しておこう
台風が近づいてくることが分かったら、早めに食料を調達しておくことが大切です。台風が最も接近する2日前には、食料は調達しておきたいですね。
前日になると、駆け込みで買い物する人が多くなるので、スーパーでも売り切れになる食材が出てきます。特に手軽に食べられるものや特売のカップ麺などはよく売れるので、早めの購入がおすすめです。
避難所に避難するなら日持ちするパンがおすすめ
避難所に避難するなら、カップ麺は控えた方がいいかも知れません。
地域によって違いはありますが、公民館など小規模な避難所なら顔見知りも多いですし、給湯室があるので、カップ麺を食べることは可能となります。
それでも、周りに用意してない人が多いと気が引けて、隠れて食べることになる可能性も否定できません。
体育館などの避難所には給湯室がなく、基本的にお湯を沸かすことができないので、カップ麺はNGとなります。そのため避難所での食料は日持ちがするパンがおすすめです。
飲料水は500㎖のペットボトルがベスト
避難所へ持っていく飲料水は、500㎖のペットボトルがおすすめで、2本あれば大丈夫でしょう。避難所にも飲料水は用意してあるので、基本的には配給してもらえますから、避難所で飲み水に困ることはないはずです。
灯もキャンプ用のランタンがあれば十分
台風では停電になることが多いですから、灯の準備も大切です。懐中電灯にペットボトルを乗せると、先の画像のようにランタン代わりに利用できますが、キャンプ用のランタンを1つ用意しておくと便利です。
スマホのポータブル充電器も忘れずに
現代の情報収集アイテムは、ラジオよりスマホが有利です。ラジオは音声で認識しないといけないので、イヤホンが必要です。一方でスマホも動画を見る際はイヤホンが必要ですが、文字情報を見るときにはイヤホンは必要ありません。
また、スマホは色んな情報源から色んな情報を収集できます。なので、スマホ用のポータブル充電器も、忘れずに満タンにチャージして持っていきましょう。
避難所に避難するときに持ち出すとよいリスト
台風で避難所に避難する際には色んな物を持ってきたいですが、基本的に次の物があれば当面は大丈夫です。
- 現金や通帳、印鑑、登記簿など ←【最も重要】
- 食料、飲料水
- 常備薬、マスク、生理用品、メガネなど
- 着替え、寝袋、ブランケット
- スマホの充電器
この他、乳幼児がいる家庭では紙おむつや哺乳瓶、ミルクなど(最近は液体ミルクもあります)が必要です。各家庭の事情に合わせてプラスするといいですよ。
最も重要なのは「現金や通帳、印鑑、登記簿など」の、なくなっては困るものです。避難所に避難するということは、自宅が危険な状態にある場合がほとんどです。もしかすると、土石流で家ごと流されたり、土砂が家の中に入ったりして、手が付けられない状態になることも考えられます。
また、浸水で家の中の家具が流されるケースもありますから、なくなって困る物は持ち出した方がよいです。ただし、盗難などには十分に気を付ける必要もあります。
自宅避難ではカップ麺やレトルトなど色んな食材が食べられる
自宅避難するなら、食料はカップ麺やレトルト食品を購入していれば大丈夫です。停電でIHコンロが使えないケースや、ガスの供給もストップすることも考えられるので、カセットコンロは必須となります。
ですが、台風が近づいたからすぐに停電したりはしないので、時間によっては通常の食事をとることも可能です
バスタブにはいつもお湯(水)を張っておく
バスタブには常時、お湯もしくは水を張っておきます。断水した時の、トイレを流す水として利用できるからです。飲料水の確保はあまり忘れませんが、トイレ用の水を忘れる方は多いですから、このことはしっかり覚えておくと役立ちます。
台風前に行なう家の外への備え
ここまで台風が接近した際の、屋内での備えについて解説してきましたが、台風が近づいてきたら家の外への備えも必要です。
自分でできる自宅の外への備えの内容
ガラスの多い商店なら、ガラスに段ボールをあててガムテープでとめるなどの対策が必要ですが、自宅ではそこまでの対策は必要ありません。
次の対策を、風や雨が強くなる前に行なっておくとよいですよ。
- 窓や雨戸はしっかりとカギをかけ、必要に応じて補強する
- 側溝や排水口は掃除して水はけを良くしておく
- 風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定する
- 小さな植木鉢などは家の中へ格納する
ベランダの植木鉢は確実に部屋の中に格納する
よく2階のベランダに、外から見えるよう綺麗な花の植木鉢を飾っているお家があります。普段はいいのですが、台風のときは忘れずに確実に部屋の中に格納するか、絶対に風で飛ばされないところに避難させる必要があります。
台風の風で植木鉢が飛んでしまうと、車や隣家にダメージを与えることになりかねません。もしも、人に当たってしまうと大きなトラブルに発展してしまいます。
2階のベランダに物干し竿があるなら、ベランダの床に置く方がよいです。
火災保険に加入しているか、契約が切れていないか確認する
台風によって家屋が被害を受けたときには、火災保険が有効です。地震による被害は別途地震保険への加入が必要ですが、台風での大雨、強風、雷などで被害を受けた壁や屋根、家財道具まで火災保険で補償されます。
例えば、次のケースでは全て火災保険で補償されるので安心です。
- 台風の暴風でドアが破損した
- 台風の大雨で床上浸水した
- 台風の落雷でテレビやパソコンが壊れた
- 台風の暴風で窓ガラスが割れた
- 割れた窓ガラスから雨が入り電化製品が壊れた
火災保険の注意点「水災補償」が付いているか確認が必要
火災保険に加入する際に、水災補償を外すと保険代を安くできるプランがあります。このプランの火災保険だと、加入していても水災による被害は補償されなくなっているので要注意です。
普段の生活では火災保険の内容を確認することはあまりないので、台風の時期こそ火災保険の内容を確認するいい機会です。
自動車保険の「水災補償」も確認しておこう
浸水で被害を受けるのは家屋や家財だけでなく、ガレージに止めてある自動車も被害を受けてしまいます。自動車は建物にも家財にも属さないので、残念ながら火災保険での補償摘要外となってしまいます。
ですが、自動車保険の「水災補償」(保険種類によって呼び名は変わります)に加入していれば、補償の対象となります。
火災保険を確認するとともに、自動車保険の「水災補償」も確認しておくとよいですよ。
台風への知識を備えよう!台風の被害を改めて確認してみる
ここからは、台風によって引き起こされる災害について確認しておきましょう。台風による災害は幅が広く、大雨・洪水・暴風・高波・高潮など、さまざまな災害を引き起こします。
実際に被害にあった方は確実に対策を取るのですが、被害にあったことのない方は「ふぅ~ん、そうなんだ」程度となるので、最も危険です。かといって、被害にあわない方がいいので、何ともいえないのが正直なところですね。
私も昔、床上浸水は経験していますが、土砂災害は経験していないので、実際の肌感覚での対策はできていないのが現状です。
洪水や高潮などから床上浸水を防ぐ方法は……ない!
天気予報でも「低い土地の方は、床下・床上浸水にご注意ください」と、コメントされることが多いですが、実際に浸水を防ぐことができるのか?というと、現実的には防ぐ方法はありません。
床下浸水程度であれば、土のうを積んで雨水の侵入を防ぐことは可能ですが、床上浸水では約1m位浸水してしまうので、土のうで防ぐことはできないのです。
浸水・土砂災害から命を守る方法は「逃げる」一択です
床上浸水もそうですが、土砂災害を防ぐ方法も現実的にはありません。ですから、これらの災害から命を守るには「その場から逃げる」しか、選択肢はなくなります。
台風が近づいてきて大雨が予想され、大雨警報や記録的短時間大雨情報、土砂災害警戒情報が発表されたら、迷わず逃げることを徹底しましょう。
ハザードマップで浸水状況と土砂災害警戒区域に入っているか確認
みなさんはハザードマップで、自宅の危険度を把握していますか?最も大切なのは、自宅が土砂災害警戒区域に入っているかどうかです。
もし、警戒区域内に入っているなら大雨警報が発表された時点で、避難所に避難しないといけません。理由は、土砂災害に巻き込まれる可能性がとても高いからです。
手元にハザードマップがないなら「重ねるハザードマップ」で確認しよう
この画像は国土交通省が公開している重ねるハザードマップで、土砂災害の情報を表示した広島市安佐南区の一部地域です。
それぞれの色には違いがあり、急傾斜地の崩壊・土石流・地すべり・土石流危険渓流などに分かれています。それぞれの説明をすると長くなるので、説明は省くとして「とにかく、色のついている範囲は危ないから避難する」ということだけ知っておいてください。
平成26年8月豪雨の土砂災害は、ほぼハザードマップどおりだった
まだみなさんの記憶に新しい「平成26年8月豪雨」による広島の土砂災害による被害は、災害後の検証からもほぼハザードマップの想定どおりに、土砂災害が発生していたことが分かっています。
つまり、先の画像にて色の付いている範囲は、土砂災害によって崩れたり、土砂に埋まったりする範囲となるため、確実にその場所から避難しないといけない情報となります。
浸水被害は分かりにくくなっている
出典:重ねるハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=37.378888,140.119629&z=6&base=pale&vs=c1j0l0u0t0h0z0
今度は浸水被害についてですが、直近の洪水ハザードマップの浸水想定は分かりにくくなってしまっています。というのも、浸水深の凡例がつぎのようになってしまっているからです。
出典:国土交通省 水害ハザードマップ作成の手引き 第3章 水害ハザードマップの作成方法
https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/saigai/tisiki/hazardmap/suigai_hazardmap_tebiki_3.pdf
※RGBとは色の表現法のことです。その下の数値は色を定めるものです。
先の画像は広島市南区の洪水ハザードマップの浸水想定の情報ですが、凡例と照らし合わせてみると、0.5m未満・0.5m~3.0m・3.0m~5.0m・5.0m以上となっているのが分かります。
黄色の0.5m未満なら、最悪でも床下浸水で済み、近年は多くの家屋が基礎を高くしているので、これらの家屋は浸水に至りません。
薄いピンクの3.0m~5.0mでは、平屋は確実に避難する必要がありますが、2階建てなら2階へ垂直避難が可能となります。
5.0m以上は2階建ての家屋全てが浸水するので、確実に避難する必要があることは理解できます。
問題は、肌色の0.5m~3.0mの浸水域にある家庭です。防災の講演でもよく質問されて困るのが、このランクなのです。
国土交通省の考えは、0.5m~3.0mは2階への垂直避難を呼びかけているのですが、「わが家は地盤から1m上げて建築しているのですが、1m以上浸水しますか?」と聞かれます。答えは「分かりません……」としか、いいようがないのです。
実際に、0.6mなら浸水しないけれど、2.0mなら確実に1階は浸水します。なので、避難の判断がとても難しいのがこのランクになっているのです。
万全を期すなら平屋は避難所に避難・2階建ては2階に垂直避難
結局いつも「アドバイスとして」と、前置きした上で「平屋建ての家屋は避難所に避難」「2階建ての家屋は、2階に垂直避難することを推奨」と、お伝えしています。
実際に、浸水が想定通りになるか分からないので、最悪を想定して動くことが命を守る最良の方法となるので、少しでもリスク回避する方法がベストです。
台風シーズンに活躍するポータルサイト一覧
それではここで、台風シーズンに活躍する、国が提供している無料のポータルサイトをご紹介しておきます。結構役に立つので、ぜひ一度サイトを確かめてみてください。
重ねるハザードマップ(国土交通省) |
日本全国の洪水・土砂災害・高潮・津波・道路防災情報・地形分類の情報を確認できます。 |
https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=37.378888,140.119629&z=6&base=pale&vs=c1j0l0u0t0h0z0 |
キキクル(気象庁) |
大雨による災害発生の危険度の高まりを知ることができるサイトです。土砂災害の危険度・浸水の危険度・洪水の危険度を色で確認することができます。 |
https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#zoom:6/lat:34.479392/lon:136.735840/colordepth:normal/elements:land |
ナウキャスト(気象庁) |
気象レーダーの観測データを利用して、250m解像度で降水の短時間予報を提供しています。 |
https://www.jma.go.jp/bosai/nowc/#zoom:6/lat:34.461277/lon:136.735840/colordepth:normal/elements:trns |
川の防災情報(国土交通省) |
国土交通省が管轄する河川のさまざまな情報を見ることができるサイトです。特にライブカメラ画像では、大河川のライブ映像を見ることができるので、近くの川がどれだけ水が増えたのか自宅にいながら確認できます。 |
https://www.river.go.jp/index |
これらのサイトは、パソコンでも見られますし、スマホでも確認できます。せっかく無料で提供してくれているので、利用しないのはもったいないです。
まとめ
今回は台風の季節にどのような備えが必要なのか、をお伝えしてきました。前半は、家庭内での備えとして、避難所に避難する場合と自宅避難での備え、家庭外にある植木鉢などの退避について解説しています。
また、火災保険が台風災害には有効であることも解説しているので、ぜひ確認してくださいね。
後半は、知識の備えとしてハザードマップの見方、台風の季節に役立つ情報サイトを紹介しています。
情報サイトは、結構役立つのでぜひ一度サイトを確認してみてください。きっと「お~、こんなサイトがあるんだ!」と、思うこと間違いなしです。
栗栖 成之
1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!