防災コラム
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防災グッズを備えるコツ!キャンプ用品を上手に利用しよう
2022/06/30
近年、みなさんの防災意識は高くなってきています。東日本大震災をはじめ、毎年のように起きる自然災害によって、防災グッズや備蓄を意識するようになってきました。
ネット上ではたくさんのショップが防災セットを販売していて、一体どの防災グッズを備えるのがいいのか、分からない方も多いはずです。
そこで今回は、防災グッズを備えるコツとしてキャンプ用品を活用する術を解説します。
目次
熊本地震でテント避難が世の中に広がった
2016年(平成28年)4月に発生した熊本地震は、まだ記憶に新しいところです。この地震では避難所への避難を避けて、テントや車中泊にて避難する家庭が多く発生し、車中泊での「エコノミークラス症候群」が心配され、連日ニュースで取り上げられていました。
アルピニストの野口健さんが支援した「テントプロジェクト」
出典:ウェザーニュース
https://weathernews.jp/s/topics/201804/110205/
この熊本地震がきっかけで「防災にはキャンプ用品がマッチする」ことが広がりました。
実は熊本地震では、有名なアルピニストである野口健さんが支援した「テントプロジェクト」によって、テントが防災にはとても相性がよいことが世の中に知られることとなったのです。
テントプロジェクトでは、陸上競技場にテント村を開設して、最大約600人がテントで避難生活を送りました。
テントは足を伸ばして寝られる&プライバシーが確保される
テントが避難時に有効なのは足を伸ばして寝られることと、プライバシーが確保されるので、着替えも自由にできますし、汗をかいても身体を拭くことができることです。
車中泊と比較すれば、ゆったりと避難生活を送ることができます。また、エコノミークラス症候群の原因も取り除けるので、身体の心配をしなくても済みます。
テント避難は大雨災害には不向きな避難となる
「じゃあ、避難するならテントでいいじゃん」とはいかないのです。テント避難にもデメリットがあり、それは「雨による水没」のリスクがあることです。
通常テントはキャンプで使用しますから、雨に浸かることは想定されていません。普通の雨ならテントの中に漏れることもありませんし、若干の浸水対策はとられていますから、少々の雨が降ってもテントの中に雨水が侵入してくることはないでしょう。
ですがそれは、あくまでもキャンプ場でのこと。災害時に屋外にテントを張ってしまうと、雨が降ってテントが浸水したり流されるリスクは高くなってしまいます。
また、既に雨が降っている中でのテントの設営は危険ですから、大雨災害では不向きな避難方法となります。
避難所でのプライバシー確保にはテントは有効
出典:楽天市場 アウトドア専門店 ゴリラと楽しい仲間たち
https://item.rakuten.co.jp/gorilla55/tent-hayabusa/
低い土地でのテント避難は、大雨時には不向きとなってしまいますが、避難所内でテントを活用すればプライバシーを確保できるので、有効となってきます。
「エッ?室内でテントって設置できるの?」と驚くかも知れませんが、最近ではテントの足部分にゴムキャップを付けて、屋内で利用できるタイプのテントも販売されています。体育館などの屋内ならペグで固定する必要もなく、スペースさえあればテントを使うことができるのです。
テント避難するなら普段から浸水しない避難場所を探しておく
大雨災害以外でテント避難を選択するのであれば、普段からハザードマップを確認して、浸水しない場所を探しておくことが重要なポイントです。
また、他人の土地にテントを張ると緊急時とはいえトラブルになりかねません。公的な公園や学校のグラウンドなどを、探しておくのがおすすめです。
【POINT】
- 水没しない公園や学校のグランドを探しておく
- ハザードマップを確認すると浸水の程度が把握できる
- 個人の敷地にテントを張るのはNGなので要注意
- 大雨の災害にはテント避難はおすすめできない
- ただし、体育館などの屋内ではプライバシー確保にテントは有効
避難所では固く冷たい床がネックになる!クッションなどがあるとベスト
体育館などの避難所では、床が固いのがネックとなります。また、冬場だと床から寒さが伝わってくるので、冷え性の方には辛い避難生活になることもあります。
そこであると便利なのが、キャンプ用のインフレータブルマットです。
避難所ではキャンプ用のインフレータブルマットが活躍する
出典:楽天市場 アウトドア専門店 ゴリラと楽しい仲間たち
https://item.rakuten.co.jp/gorilla55/camping_mat3/
新型コロナウイルスの登場で、避難所運営もがらりと変わりました。これまでは簡易パーティションで区切るだけのプライバシーが、区画を作り段ボールのパーティションで四方を囲い、段ボールベッドも用意されています。
これまでの冷たい床の上で、避難生活を送らなくて済むようになったのは喜ばしいことです。それに加えて、キャンプ用のインフレータブルマットがあればふかふかしてお尻も痛くありませんし、ぐっすり寝ることができて、疲れが溜まりにくくなるメリットがあります。
紹介しているマットの収納時のサイズは、直径約18㎝×高さ約33㎝、重量は約1.1㎏なので十分持ち運べるサイズと重さです。
普段キャンプをしない方でも、用意しておくと何かと便利に使えます。
キャンプマットは車中泊でも活躍するアイテム
出典:楽天市場 アウトドア専門店 ゴリラと楽しい仲間たち
https://item.rakuten.co.jp/gorilla55/camping_mat8/
最近の軽自動車では「車中泊」をコンセプトに、フルフラットになる車が多く販売されています。これも防災意識が向上したことで「災害時に車中泊を選択する」ニーズが増えた結果といえるでしょう。
しかし、シートを倒してフルフラットにできても、シートの背面にクッションが付いている訳ではありません。
そこで登場するのがキャンプマットです。メーカーによってさまざまなキャンプマットが販売されていますが、車中泊におすすめな厚めのインフレータブルマットがあります。
厚さが8㎝あるので、クッション性はバツグンです。熊本地震の時のように避難期間が長期になるケースでは、車中泊でも快適性が求められますから、このようなクッション性の高いインフレータブルマットは有効といえますね。
寝袋+インナーシュラフがあれば、寒さ知らずで過ごせる
冬場の避難所は、寒さとの戦いでもあります。体育館に避難した際には、毛布は支給されますが、それだけでは寒さをしのげない場合が多いです。
また避難時に多くの上着を持ち出すことも難しく、場合によっては着の身着のままで避難するケースもあるでしょう。そんな時でも、避難用のリュックに寝袋とインナーシュラフをくくりつけておけば、避難時に持ち出せて寒さに耐えることができます。
寝返りもできる大きめの封筒型寝袋がおすすめ
出典:Yahoo!ショッピング アウトドア専門店 しろくまと楽しい仲間たち
https://store.shopping.yahoo.co.jp/kurayashiki/fx-403.html#
おすすめな寝袋は、大きめの封筒型です。封筒型は寝袋の内部が広く寝返りを打つことも可能なので、普段と同じような睡眠をとることができます。しかも、封筒型はサイドにあるファスナーを開けることで、フルオープンできてさまざまな使い方が可能です。
冬場だけでなく夏場は敷布団になったり、クッションとして利用できたり、意外に万能に使うことができます。重量も3kg未満と軽量なので、避難時にも重たさを感じることはないでしょう。
マミー型の寝袋はあったかい防寒着にもなる
出典:Yahoo!ショッピング アウトドア専門店 しろくまと楽しい仲間たち
https://store.shopping.yahoo.co.jp/kurayashiki/201-301-0815.html#
マミー型の寝袋は全身をスッポリと覆うので、封筒型の寝袋よりも窮屈感があります。ただ、封筒型と違ってマミー型の中には、手を出したり足を出したりでき、寝袋に入った状態で食事を取ったりコーヒーを飲んだりできます。
日中でも冷え込む体育館などの避難所では、結構便利に使えるアイテムといっていいでしょう。
出典:楽天市場 アウトドア専門店 ゴリラと楽しい仲間たち
https://item.rakuten.co.jp/gorilla55/fx-453g/
インナーシュラフは色んな所を温められる
封筒型の寝袋の弱点は、首元が大きく開くことです。そこでインナーシュラフをプラスすれば、首元の空間を埋めて温かい寝心地をキープできます。また、起きている時のひざ掛けや肩掛けにもなるので、色んな使い方が可能です。
避難所で配られる毛布は、場所によって素材が違います。質よりも量を確保しないとならないので、保温性に優れているとは言い難いでしょう。なので、寒がりの方や冷え性の方は、キャンプ用品のインナーシュラフを備えておくといいですよ。
出典:Yahoo!ショッピング アウトドア専門店 しろくまと楽しい仲間たち
https://store.shopping.yahoo.co.jp/kurayashiki/201-2012-710.html#
【POINT】
- 避難所ではキャンプ用のインフレータブルマットが活躍する
- 車中泊でもインフレータブルマットがおすすめ
- 大きめの封筒型寝袋は色々に使えて便利
- マミー型の寝袋は手や足を出せるタイプもある
- 寒さ対策にはインナーシュラフを備えておこう
乾電池式のランタンは精神的にも安心できる
地震時での避難では、避難所にいても余震による揺れを感じて不安になることでしょう。地震災害で避難する多くの場合は、停電によって電気が使えません。そんな時に、キャンプで使うランタンがあれば、優しい灯りで周囲を照らしてくれるのでホッとできます。
キャンプ用のランタンは、避難生活だけでなく夜間に庭の確認をしたり、通常の停電時の灯りとして使用したり、普段からさまざまに活躍してくれますから、家庭に一つ備えておくと便利です。
乾電池式のランタンは、高価なものでなくても十分活躍してくれるので、好みのデザインや機能で選ぶとよいでしょう。
ヘッドライトとミニライト、両方備えておくのがベスト
避難時が昼間とは限りませんから、懐中電灯は防災グッズのなかでは必需品となってきます。特に日本を通過する台風は、夜の時間帯に通過する地域が多いです。
台風の進路を見越して明るい内に避難するのが、もっとも安全な避難方法ですが、必ずそうとはいきません。台風が近づいてくる夜に、避難を開始するケースもあります。
そんな時には、懐中電灯が必須です。ヘッドライト式の懐中電灯と、手で持つミニライトがあるとよいですね。ヘッドライトは、目線に光が当たるので避難しやすく、両手が使えるメリットがあります。加えて、ミニライトがあれば足元と遠くの両方を照らすことができるので、より安全に避難できます。
最近ではLED式の高性能なミニライトとなっているので、100円ショップのミニライトでも十分使えます。先程のランタンと、一緒に備えておくことをおすすめします。
【POINT】
- ランタンの灯りがあると精神的も安心できる
- 安価なランタンでいいので好みのデザインや機能で選ぶ
- 避難時にはヘッドライトとミニライトのセットが必須
- ミニライトは100円ショップの商品でも十分使える
キャンプ用品だけで荷物がいっぱいになっても大丈夫!
避難時にキャンプ用品があれば、便利で避難生活もラクになることはお分かりいただけたと思います。ただ、「寝袋とマットだけで、リュックがいっぱいになっちゃう」と、食料や水の心配をされる方も多いでしょう。
でも、避難所に避難するなら食料は1食分、水も500㎖のペットボトル1本あれば大丈夫なのです。避難所には定員分の備蓄がされていて、毛布や食料、水は配給してもらえます。時間が経過すれば、炊き出しや救援物資で食事には困ることはほとんどありません。
なので、多くの食料品をリュックに詰め込むより、寝袋やマットを持って行った方が避難所生活はラクになります。
まとめ
今回は防災グッズを備えるコツについて、詳しく解説してきました。避難所への避難、テント避難、マイカーでの車中泊、自宅避難など、避難方法もさまざまです。
ただ、どの避難でもキャンプ用品が防災グッズとして、活躍するのはお分かりいただけたでしょう。
避難所やテント、車中泊では、キャンプ用のマットや寝袋が大活躍します。自宅避難でも停電時には、キャンプ用のランタンがあれば落ち着きます。いきなり揃えるのは大変になりますから、徐々に備えておくとイザという時に活躍してくれますよ。
栗栖 成之
1963年広島県呉市生まれ。現在は兵庫県に在住し、1995年阪神淡路大震災を経験。
2014年からWEBライターを開始して、執筆した記事は3,000以上。
2017年に防災士を取得し、現在防災関連の記事も多数執筆中!